ダイヤモンド社と共同で行なっていた「海外投資の歩き方」のサイトが終了し、過去記事が読めなくなったので、閲覧数の多いものや、時世に適ったものを随時、このブログで再掲載していくことにします。
今回は2021年3月25日公開の「1970年代から始まった生存重視から自己表現重視への価値観の「進化」。 日本人が「国のために戦いたい」と思わず、幸福にもなれない理由」です(一部改変)。

******************************************************************************************
ミシガン大学社会調査研究所教授で政治学者のロナルド・イングルハートは、世界のひとびとの価値観を比較する「世界価値観調査」の創設者・主導者として知られている。『文化的進化論 人びとの価値観と行動が世界をつくりかえる』(山﨑聖子訳/ 勁草書房)は、100カ国、40年に及ぶ調査にもとづいたイングルハートの研究の集大成だ。本書の後半では、2016年のイギリスのEU離脱、アメリカのトランプ大統領誕生をこれまでの調査結果をもとに論じている。
興味深いのは、イングルハートが意図的に「進化(Evolution)」という言葉を使っていることだ。これまで社会科学では、進化は生物だけに適用すべきだとされてきた。その背景にはもちろん、ナチスの優生学を生んだ「社会進化論」への忌避感がある。だがイングルハートは、あえて自らの理論を「進化論的近代化論(evolutionary modernization theory)」と名づけた。 続きを読む →