ダイヤモンド社と共同で行なっていた「海外投資の歩き方」のサイトが終了し、過去記事が読めなくなったので、閲覧数の多いものや、時世に適ったものを随時、このブログで再掲載していくことにします。
今回は2020年12月3日公開の「人間はチンパンジーよりもアリに似ている。 巨大な群れ(社会)をつくる生き物は自然界に社会性昆虫とヒトしかいない」です(一部改変)。

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マーク・W・モフェットは昆虫の生態を研究するフィールド生物学者で、「昆虫学界のインディ・ジョーンズ」の異名をもつ。「高校中退後、大学に進学し、近接撮影(マクロ撮影)を独学で修得し、ハーバード大学で昆虫学・生物学の大家E・O・ウィルソンの指導のもと略奪アリの研究で博士号を取得し、社会性アリと森林樹冠に生息する生物の生態研究を専門にしている」という。
『人はなぜ憎しみあうのか 「群れ」の生物学』(小野木明恵訳/早川書房)では、そんなモフェットが、さまざまな生き物の「群れ」を論じている。原題は“The Human Swarm: How Our Societies Arise, Thrive, and Fall(ヒトの群れ われわれの社会はどのように勃興し、繁栄し、崩壊するのか)”だが、誰もが知りたい謎に焦点を当てたタイムリーな邦題になっている。
ところで、アリを専門に研究してきたモフェットが、なぜヒトをテーマにすることになったのか。それは、「社会的な動物としての人間は、チンパンジーやボノボのような近縁種よりアリに似ている」からだ。今回は、このかなり衝撃的な前提から始まる興味深い「群れの生物学」を見てみよう。 続きを読む →