すべてのひとに役立つ成功法則は「合理性」 週刊プレイボーイ連載(556)

「どうすれば成功できるか?」という問いには、すでに結論が出ています。多くの研究によって、社会的・経済的に成功するのは、男女を問わず、以下のような特性をもっているひとだということがわかっているからです。

高い知能 仕事を正確かつ効率的にこなせる
高い堅実性 約束やスケジュールを守る
高い外向性 ただし、内向的でも経済的には成功できる
高い楽観性 低い神経症傾向
高い共感力 相手の気持ちになれる
高い同調性 みんなとうまくやっていける
高い経験への開放性 新奇なものに関心をもつ
魅力的な外見 男の場合は高身長も

問題は、性格や外見を思いどおりに変えられないことです。政治家や芸能人、ベンチャー起業家の多くが高い外向性をもっているとしても、内向的なパーソナリティのひとに向かって、「もっと積極的な性格になれば成功できる」というアドバイスはなんの役にも立ちません。

行動遺伝学では、性格のおよそ半分は遺伝の影響で、成長につれて遺伝率は高くなり、成人してからは、パーソナリティはほとんど変わらないとされます。これが、世の中には多くの(多すぎる)成功法則があるにもかかわらず、「ぜんぜん役に立たない」という不満の声があふれている理由です。

成功法則には、「向き不向き」があります。成功者の自伝を読んで人生が変わるほどの影響を受けたとしたら、それはパーソナリティが似ているからでしょう。自分とよく似たひとは、同じような状況で同じような問題に直面しやすいのです。

逆に、まったくちがうキャラクターの成功者の話を聞いても、「そういうひともいるのか」と思うだけでしょう。あなたと似ていないひとはたぶん異なる体験をしているし、仕事や恋愛のような共通する関心事でも、あなたにはなんの参考にもならない対処の仕方をしているです。

それでは、すべてのひとにとって役に立つ成功法則は存在しないのでしょうか。じつは、たったひとつだけあります。それが「合理性」です。

わたしたちが生きている(産業革命以降の)知識社会では、「論理的に思考すること」と、「それを言語によって伝えること」に、大きなアドバンテージが与えられています。それはすなわち、合理的に判断し、行動することで大きな優位性が得られるように社会が構成されているということです。

とはいえ、合理的に生きることはさほど難しいわけではなく、(ほとんど)すべてのひとに可能です。なぜなら、これまで多くの賢い先人たちが、合理性について徹底的に考えてきたからです。だとすれば、わたしたちはそうした「巨人」の肩に乗ることで、最短距離で「成功」に到達できるはずです。

そんな話を、新刊『シンプルで合理的な人生設計』(ダイヤモンド社)で書きました。これは汎用性のある成功法則なので、あなたにもきっと役に立つはずです。

『シンプルで合理的な人生設計』

『週刊プレイボーイ』2023年3月20日発売号 禁・無断転載