金融資産なしで年金だけでどうやって暮らしているのか? 週刊プレイボーイ連載(391)


金融庁の報告書に端を発した「老後2000万円不足問題」は予想をはるかに超える反響を引き起こし、参院選の大きな争点になることは確実です。「大炎上」した理由は、報告書が「平均的」な世帯を、持ち家で2000万円の金融資産を保有し、それを毎月5万円ずつ取り崩していると描いたからです。

これは総務省の「家計調査」に基づいているとのことですが、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」(2017)では、70歳以上で2000万円以上の金融資産を保有している世帯は27.9%です。脱落した7割の高齢者が、「自分たちは生きていけないのか?」と騒ぎ出したとしても不思議はありません。

しかしここから、「老後に2000万円なんて貯められるわけがない」というよくある批判が誤りであることもわかります。10世帯のうち3世帯はこのハードルをクリアしているのですから、当たるはずのない宝くじとはぜんぜんちがいます。「頑張れば誰でもできる」わけではないものの、「誰にでも望みはある」というべきでしょうか。

金融資産は月々の収入を積み立てた(運用した)結果ですから、平等な社会でも年齢が上がるほど「資産格差」は拡大していきます。

同じ調査では、2000万円以上の金融資産を持っている世帯は、20代では1.7%、30代でも5%しかありませんが、40代になると13.0%、50代では23.8%と大きく増えます。ただし「富裕層」の割合は、60代や70歳以上になってもさほど増えません。誰もがうすうす気づいているように、経済的に成功できるかどうかは40代で(ほぼ)決着がついているのです。

それに対して金融資産非保有の世帯は20代で32.2%と3分の1ですが、それが30代では17.5%と半減します。この比率は40代で22.6%までいったん上がりますが、これはマイホームを購入する頭金などに使ったからだと思われ、50代ではふたたび17.4%に戻っています。

ここから見えてくるのは、金融資産非保有の20代の若者のうち、半分は預金の積み立てや資産運用を始めますが残りの半分はそのままで、その結果、5~6人に1人は生涯にわたってほとんど金融資産を持たないらしいということです。これに50代のときに300万円未満の金融資産しか持っていなかった1割が(預金を取り崩して)加わると考えれば、70歳以上の3~4人に1人が金融資産非保有になる経緯がわかります。

それでは、このひとたちはどうやって暮らしているのでしょうか。データが示すもうひとつの興味深い特徴は、金融資産非保有世帯のうち、持ち家率が78.8%ときわめて高いことです。持ち家世帯全体でもその割合は約20%で、持ち家が5軒並んでいればそのうちの1軒は金融資産を持っていないのです。マイホームの購入でキャッシュがなくなったということもあるでしょうが、それよりも地方などで、若いときは実家で暮らし、その後、親の不動産を相続したというケースの方が多そうです。

このようなひとたちは、病気など不慮の出来事がないかぎり、金融資産がなくても年金だけでなんとか暮らしているようです。これもまた、「平均的」な日本の高齢者の姿なのでしょう。

『週刊プレイボーイ』2019年7月8日発売号 禁・無断転載

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1件のコメント

  1. 柳田理科雄氏を批判しているSF作家の山本弘氏いわく、
    「ネガティブ思考しかできない素人に、ろくな本が書けるはずもない」
    とのことである。

    http://mind-gene.com/greeting/
    遺伝子研究の世界的権威である村上和雄氏が、こちらのページで次のように語っている。
    「いま、私が最も関心を持っているのは、多くの遺伝子は眠っており、それが、いろいろな刺激で眠りを覚ますという事実です。良い遺伝子をオンにすることができれば、私たちの可能性は飛躍的に向上します」

    さらに、村上氏いわく
    「いまの日本は、元気がありません。それは、良い遺伝子が眠っている状態にあるからだと考えられます」
    とのことだが、1960年代まで最貧国だった韓国が先進国入りした(それでも先進国の中では最貧国だが)のは、韓国人の良い遺伝子がオンになったからだろう。
    人種や民族で知能が違うというのがもし真実でも、それは良い遺伝子がオンになっているかいないかの違いに過ぎないはずだ。中曽根康弘氏は「黒人の住むアメリカは知的水準が低い。単一民族国家の日本は知的水準が高い」と、橘氏と似たことを言っていたが、単一民族国家の日本でさえ都道府県ごとに学力が大きく違うのだ。

    村上氏は著書『アホは神の望み』(サンマーク出版)の中で、
    「遺伝子の働きは生まれつき決まっている先天的なものではなく、生体内外の環境の影響を受けて後天的に変わっていく」
    と述べているが、村上氏の本を読めば『言ってはいけない』などつまらなくて読めなくなるはずだ。
    もっとも、橘氏は「日本語が読めない戊種どもにはどんな良書も豚に真珠だ」とうそぶくだろうが。(そういえば、東大中退の柳田理科雄氏や学習院大出身の麻生太郎氏も日本語が読めない)

    それにしても、橘氏はタブーを明かすことが好きなのに、関西人、特に大阪府民に犯罪者が多い(関西の人口比での犯罪発生率は東北地方の2倍強であり、大阪府の人口比での犯罪発生率に至っては何と秋田県の5倍強!)理由や琉球人に貧乏人が多い(沖縄の貧困率は全国平均の2倍)理由をなぜ検証しないのだろう?

    P.S.日本をバブルに突入させて平成恐慌の元凶を作った中曽根氏の勲章のランクが村上氏よりも上なのは、何とも不都合な事実だ。

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