月刊『Voice』9月号「アルファに魅かれる女性のジレンマ」(つづき)

月刊『Voice』9月号のインタビュー「アルファに魅かれる女性のジレンマ」が「実は「他人の子と知らずに育てている父親」が多い? 語られない男女間の“不都合な真実”」としてWEBに掲載されましたが、文字数制限で最後の部分がカットされたのでここにアップしておきます。合わせてお読みいただければ。

******************************************************************************************

◎全体で見れば女性が裕福に◎

──ひたすらアルファを狙って若さを失い婚期を逃すよりは、きっちりキャリアを積んで「同類婚」をめざすほうが、たしかに現実的だとはいえます。ただ、結婚はともかく、出産には適した年齢があると思います。その点はどう考えますか。

橘 現代の女性の最大の問題は、出産に適した生物学的な年齢と、キャリアを積むのに必要な社会的な年齢が衝突することです。これは本当に深刻で、私にも名案はないのですが、ひとつの可能性として「若い時に出産し、子育てをアウトソースする」というライフスタイルが考えられるのではと思っています。「人生百年時代」といわれても、退職してしまえばたいしてやることはありません。若い祖父母が孫を育てるという未来は、けっして荒唐無稽なものではないでしょう。

20代前半、あるいは10代後半で出産し、子育てを両親に任せて大学に入る。これならキャリア形成に大事な30歳前後には子供はもう手がかからなくなっているのですから、仕事との両立もそれほど難しくありません。「子育ての喜びがなくなる」というかもしれませんが、40代になれば子供が孫を産んでくれるのだから、ある程度生活に余裕ができてから思う存分体験することができます。男にとって問題なのは、これだと祖母、母親、娘と女だけで完結してしまうことですが。

──経済的に自立した女性が男性を選ぶ時代が来るということですか。

橘 現実にアメリカでは、医療・介護や教育関係などピンクカラーと呼ばれる職種の平均年収が工場労働などブルーカラーの収入を逆転する現象が起きています。ごく一部の大富豪は男に多いとしても、全体でみれば女のほうが裕福になりつつある。

生物学的にいえば、オスの役割は子孫を産むメスに遺伝的な多様性を付加することでしかありません。その意味で、男はしょせん「寄生虫」みたいなものです。今後、自由恋愛がさらに進み、女性に経済力がついてくれば、アルファな男とドラマチックな恋愛をして、子供は自分で育てるというのが性愛における女の最適戦略になるかもしれません。だとしたら、自由な恋愛を楽しむ女性が増える一方で、男の競争はよりいっそう激しいものになっていくのではないかと予想しています。