財政破綻に備える「3つのリスク回避術」

『ZAITEN』2011年2月号の特集「20XX年ニッポンの国債暴落」に掲載された「財政破綻に備える「3つのリスク回避術」」を、出版社の許可を得てアップします。

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「日本国は破産するか」については、さまざまな議論がある。たいていのひとは、「こんなに借金(2009年末の国債発行残高は約870兆円)が大きいんだから、いずれ大変なことになるだろう」と不安に思っている。それに対して、「財政危機なんかウソっぱちだ」と威勢のいいことをいうひともいる。

どちらが正しいかを判断するには、まず現状を正確に把握しなくてはならない。 続きを読む →

釣銭の返ってこない世界と小銭のない世界〈エジプト旅行2〉

エジプトの古都ルクソールの国立博物館でのことだ。日本人のシニア夫婦が、切符売場の前で200エジプトポンド(約2,800円)札を握りしめて途方にくれていた。事情を聞いてみると、釣銭がないのでチケットを売ってくれないのだという。

博物館の入場料は1人80ポンド(2人で160ポンド)だから、釣りは40ポンド。ところが窓口の女性は、20ポンド紙幣がないので、10ポンドを加えて釣りを50ポンドにしないとチケットは売れないのだという。仕方がないので持ち合わせの小銭で両替してあげたのだけれど、考えてみればこれはずいぶんおかしな話だ。 続きを読む →

ピラミッドのおじいさん〈エジプト旅行1〉

昨年末にエジプトを旅行したのだけれど、この国は常識を覆されるような体験ができて、とても面白い。ちょっと趣向を変えて、今回は海の向こうの「不思議の国」について書いてみたい。

旅行ガイドブックにも書いてあることだけれど、古代エジプトの素晴らしい遺跡群を有するこの国には、観光客のバクシーシ(チップ)で生計を立てているひとたちがものすごくたくさんいる。その結果、定価や正規料金というものが成立せず、ものの値段は融通無碍に変わり、常にぼったくられているような気がして、旅行者にはきわめて評判が悪い。

とはいうものの、せっかくカイロまで来たのだから、有名なギザのピラミッドを見学しようと、街で声をかけてきたタクシーに乗り込んだ。ここでの鉄則は最初に料金を決めてしまうことで、言い値の半額から交渉をはじめ、往復を条件に4割引にしてもらった。--ほんとうはバスターミナルまで歩いて、インド数字(アラブ世界では世界標準のアラビア数字ではなくインド数字が広く使われていて、門外漢にはまったく読めない)の標識を頼りに公共バスに乗ればいいのだろうが、もうバックパッカーのような旅はできなくなってしまったのだ。 続きを読む →