ワールドカップのチケットの高騰が話題になっています。グループリーグのチケットは「カテゴリー1(下層階)」で350ドル(約5万6000円)から450ドル(約7万2000円)で売り出されましたが、今回はFIFAがチケットのリセールも行なっているため、日本戦は1000(約16万円)から1500ドル(約24万円)で取引されています。決勝にいたっては8万ドル(約1280万円)を超える価格で取引されたチケットもありました。
サッカーは庶民や労働者階級のスポーツとして愛されてきましたから、富裕層にしか手の届かない価格に批判が集まり、アメリカのニューヨーク州とニュージャージー州の司法当局がFIFAへの調査に乗り出したと報じられました。
これはたしかに理不尽に思えますが、逆にいえば、1000万円出してもワールドカップ決勝をスタジアムで観戦したいひとたちがいるということです。それも、思ったよりもたくさん。
スイスのプライベートバンクUBSの『グローバル・ウェルス・レポート』は毎年、世界の富裕層の動向を発表しています。その2025年版によると、株式や不動産などの資産から負債を除いた純資産で100万米ドル(約1億6000万円)を超えるミリオネアは世界で6000万人、そのうちアメリカは2380万人で約4割を占めます。
近年の大きな特徴は、純資産100万ドルから500万ドルのEMILLIs(エミリ)と名づけられた層が大きく増えたことです。これは“Everyday MILLIonaires(平凡なミリオネア)”の略で、世界で5200万人もいます。いまやミリオネアは富裕層というより、社会階層では「中流の上」に位置するのです。
ミリオネアの人数は、アメリカに次いで中国630万人、フランス290万人と続き、日本は4位の270万人ですが、2020年の366万人から25%も減っています。円安によってワンミリオン(100万ドル)のハードルが上がったからでしょうが、富裕層の拡大という世界の潮流から日本が脱落しつつあることを示しているようにも見えます。
2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻で石油や天然ガスなどの資源価格が上昇し、日本の物価が上がりはじめました。26年2月にはアメリカとイスラエルがイランへの軍事攻撃を実施し、報復としてイランが石油輸送の要衝であるホルムズ海峡を封鎖したことで、(物価の影響を調整した)実質賃金が4年連続でマイナスになるなど、家計はきびしさを増しています。
それに対して政府は、ガソリンに補助金を出したり、食品の消費税を1%に期限付きで軽減しようとするなど、「どんどん貧乏になっている」という国民の怒りをなだめようと必死です。しかし、こんな小手先のことで「ゆたかな日本」が実現できるのでしょうか。
国が信頼できなければ、一人ひとりが自分と家族の生活を守るしかありません。そして、金融市場を効果的に活用すれば、インフレや円安、金利上昇のリスクに保険をかけ、資産を増やすことは十分に可能です。
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