どうすれば「恐竜の頭」が見つかりますか?

N.Bさん

橘さんはじめまして。僕は下記について夜も眠れないほど真剣に考えています。ぜひ橘さんのアドバイスをいただきたくお願いいたします。

『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』を読み、「伽藍を捨ててバザールに向かう」決意をしました。ですが具体的にどうすれば実現できるかが思いつきません。好きな分野でブログを書いて広告収入(アフィリエイト)を得る程度のことしか考えられません。「好き」を仕事にして家族を養える程度の収入を得る方法には、例えばどのようなやり方が考えられますでしょうか?

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同様の質問をほかにもいただいていますが、「これをすればいい」という具体的なアドバイスは私にはできません。

そのかわり、「成功」における運や偶然について、最近思ったことがあるので、それについて書きます。

先日、邱永漢さんと食事をする機会があり、「必要は発明の母、偶然は成功の父」という話を伺いました。今年で86歳になられた邱さんは、これまでの人生でたくさんの成功者と、それよりもずっと多くの失敗したひとたちと出会ってきたわけですが、「計画を立てて、そのとおりに成功したひとは一人も見たことがない」といいます。

私はこれまで、偶然(運)をうまく説明することができなかったのですが、邱さんと別れたあとで、六本木ヒルズの前を歩いているときに、突然、『残酷な世界~』で書いたこととつながりました。その仮説を、次のような例で説明してみます。

私はいま、深い森のなかで道に迷っているとします。地図も磁石もなく、空は樹木に覆われて太陽も星も見えません。

しかしこの森がバザール空間であれば、とにかく歩き出せばどこからかフィードバック(評価)が返ってきます。どの方向に歩き出すかは勘に頼るしかなく、どこからどのようなフィードバックが来るかはわかりません。すなわち、まったくの偶然です。しかし、そのフィードバックを活かすことで、深い森を抜けられるかもしれません。

このように考えると、「成功」に必要とされるさまざまな資質を整理することができます。

  • どこからフィードバックが来るかは、偶然(運)です。
  • そのフィードバックを聞きとれるかどうかは能力です。
  • 正しい方向がわかったとして、一歩を踏み出せるかどうかは決断です。
  • その方向に歩きつづけられるかどうかは努力です。

しかし、歩いているうちにフィードバックは変わってきます。突然、聞こえなくなったり、ネガティブなものに変わってしまうこともあるでしょう。

  • そのとき、立ち止まったり方向を変えたりできるのが勇気です。

ありきたりなたとえですが、ここでいいたいのは、最初のフィードバック(偶然)がなければ永遠に森からは出られないということです。

伽藍の世界は、原理的に、ポジティブなフィードバックが送られてこない死の世界ですから、いつまで待っても「偶然」は訪れません。脳は物理的に頭蓋骨に閉じ込められていますから、伽藍からバザールへ出る方法を考えているだけでは、無限ループに落ち込むだけです。

ヒトは社会的な動物なので、他者からの評価を参照しながら前に進んでいく基本設計になっています(遺伝子決定論?)。この仕組みを利用する以外に成功への道はなく、すべては常に偶然(初期値のわずかなちがい)から始まるのです。

抽象的な話になってしまいましたが、なにかのお役に立てば幸いです。

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