『世界はなぜ地獄になるのか』発売のお知らせ

小学館新書より『世界はなぜ地獄になるのか』が発売されます。発売日は8月1日ですが、都内の大手書店ではこの週末に並ぶところもあるかもしれません。 Amazonでも予約できます(電子書籍も同日発売です)。

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社会正義はめんどくさい。
キャンセルカルチャーという「大衆の狂気」を生き延びる

誰もが自由に生きられる社会は、
こんなにも不自由だ。

文化全体にしかけられた地雷
社会的存在のキャンセル
「表現の自由」と「抗議する権利」
終わりのない罵詈雑言の応酬
「無意識の差別主義者」のレッテル
マイノリティは常に正しいのか

人種や性別、性的指向などによらず、誰もが「自分らしく」生きられる社会は素晴らしい。
だが、そうした社会の実現を目指す「社会正義(ソーシャルジャスティス)」の運動は、
キャンセルカルチャーという異形のものへと変貌していき、今日もSNSでは罵詈雑言の応酬が続いている。
わたしたちは天国(ユートピア)と地獄(ディストピア)が一体となったこの「ユーディストピア」をどう生き延びればよいのか。

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『世界はなぜ地獄になるのか』目次

はじめに リベラル化が生み出した問題を、リベラルが解決することはできない

PART1 小山田圭吾炎上事件
プロモーションのためのインタビュー
いじめはエンタテインメント?
なぜインタビューを受けたのか
教室にロボパーが現われる
意図的に編集された発言
友情ではないが交流はあった
「全裸でグルグル巻にしてウンコ食わせて」
無責任な若者代表/「事実」をめぐる問題
「障害」はなぜ消えたのか
許されない発言
では、どうすればよかったのか

PART2 ポリコレと言葉づかい
「それって侮辱じゃないのかい」事件
ポリコレはグローバル空間のルール
身体的暴力から心理的暴力へ
日本は「さん」づけでアメリカは呼び捨て
敬語を使うと失礼になる場合
外国人の上司や同僚をどう呼ぶのか
日本語は身分制から生まれた
「連絡させていただきます」は誤用
敬意がどんどんすり減っていく
言葉で相手に触れるというタブー
ネットに跋扈する「敬語警察」
ヨーロッパ人の祖先はアーリア?
「white(白人)」はなぜ小文字なのか
黒人やアジア系はPOC
シスジェンダーとトランスジェンダー
性的少数者の呼称が長くなる理由
「障害」は差別用語なのか
言葉の言い換えでは解決しない問題
言葉は権力

PART3 会田誠キャンセル騒動
四肢を切断された全裸の美少女
プラットフォームへの抗議
芸術家はなぜ「芸術」を擁護したのか
「日本画」は日本固有の絵画ではない
「変態」でオリエンタリズムを乗り越える
なぜ少女の四肢を切断したのか
天皇の写真を燃やす表現の自由はあるのか
終わりのない罵詈雑言の応酬

PART4 評判格差社会のステイタスゲーム
健康格差はなぜ生じるのか
ステイタスが低いと死んでしまう
日本では中間管理職の死亡率がもっとも高い
ステイタスを感知する超高精度のソシオメーター
ストレスが脳の自己免疫疾患を引き起こす
権威による支配は嫌われる
「正義というエンタテインメント」を楽しめる美徳ゲーム
推しはアイデンティティ融合
自尊心を守るための陰謀論
「意識高い系(ウォーク)」は不満だらけのエリートなりたがり
死ぬまで続く残酷なゲーム
SNS時代の赤の女王
なぜAV女優になりたがるのか
ステイタスゲームに攻略法はない
社会的地位とアイデンティティのねじれた関係

PART5 社会正義の奇妙な理論
ギャングに売られた北朝鮮の少女
「北朝鮮は本当に狂っていた。でも、このアメリカほどではなかった」
リベラルな知識人はなぜキャンセルされたのか
「傷つけられない権利」は基本的人権
リベラルな大学ほどキャンセルの嵐が吹き荒れる
白人は「生まれる前から」レイシスト?
リベラルな白人による無意識の人種差別
日本人は原理的に「レイシスト」にはならない?
マイクロアグレッション
インターセクショナリティ
学術誌に掲載されたデタラメ論文
《理論》の源流はフーコーとデリダ
ポストモダン思想の二度の転回
肥満は自己責任なのか
マイノリティはつねに正しく、マジョリティはつねに間違っている

PART6 「大衆の狂気」を生き延びる
キャンセルされた、世界でもっとも有名な作家
男と女は連続体
ブルーガールとピンクボーイ
TERF問題の核心
自分に向けた女性への愛
不都合な理論
トランスジェンダーを否定するレズビアンのフェミニスト
トランスジェンダー問題
平等・公平・公正
赤ちゃんの正義感覚
保守もリベラルも社会正義を求めている
「人種や性別で他人を判断してはならない」という差別
あまりにも高いハードル
他者とのコミュニケーションから撤退する
まともなひとは歴史問題で外国人を批判しない
個人は国家の過去の加害行為に責任を負うべきか
国民には、国家の過去を謝罪する権利はない
道徳的個人主義と共同体主義
真理を独占する者たち
頭のなかのおしゃべりがあふれ出す
「極端な人」に絡まれないためには
キャンセルカルチャー産業

あとがき ユーディストピアにようこそ