毎月分配型投信の不都合な真実


『日経ヴェリタス』4月29日号の特集「静かなる投信革命」のなかに、「毎月分配型からマネー流出」(山下茂行、松本裕子記者)というインパクトのある記事が掲載されている。とりわけ衝撃的なのは、毎月分配型投信の元本払い戻し度合いを一覧にした表だ。

これは日本の投信業界の歪んだ構造を象徴するものなので、そのまま紹介したい。

この表の見方は簡単で、たとえば人気ナンバーワンのグローバルソブリンは、この1年間の運用成績が0.8%で、投資家に年7.8%の分配金を支払っている。ということは、足りない7%分は元本を取り崩していることになる。ようはタコ足配当だ。

これを見ると、驚くべきことに、31本の毎月分配型投信のなかで、運用成績の範囲で分配を行なっている(元本を取り崩していない)投信はわずか1本しかない(「ダイワ日本国債ファンド」で分配率2.3%)。残りはすべてタコ足配当で、そのうち6本にいたっては、運用成績がマイナスなのに分配金を支払っている

そのなかでも「日興アッシュモア新興国3分法毎月・レアル」(日興アセットマネジメント)は、運用成績がマイナス8.8%なのに投資家に21.4%の分配を行なった結果、なんと元本の3分の1(30.3%)を払い戻すことになった。

また「グローバル・ハイ・イールド 資源国」(野村アセットマネジメント)、「新興国債券ファンド通貨選択 レアル」(三菱UFJ投信)、「米国ハイ・イールド レアルコース」(野村アセットマネジメント)、「ピクテ新興国インカム株式ファンド」(ピクテ投信投資顧問)、「アジア・オセアニア高配当成長株オープン」(岡三アセットマネジメント)も、元本の2割前後を1年間で払い戻している。

投資家の資産を誠実に運用する職業倫理を負っているはずの運用会社は、こんな「運用」にいったいどんな意味があるのか、ちゃんと説明すべきだ(説明できるものなら)。

記事に書かれているように、投信会社は元本取り崩し分に「特別分配金」という紛らわしい名称をつけて、多くの投資家が「ボーナスのようなもの」と誤解していた。それを金融庁に指摘されて、これからは「元本払戻金(特別分配金)」と表記するらしい。

もちろんこうした指導にも多少の効果はあるかもしれないが、金融庁には、そもそもこのような投信の存在が許されていいのか、ぜひ真剣に検討してほしい。

いくらなんでもヒドすぎる。

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31件のコメント

  1. いつも興味深く拝見しています。毎月配当の投信、「やれやれ」です。アメリカ人の40歳代の知人に聞きましたが、州によって、また学校によっても違うそうですが、アメリカでは高校でファイナンスの授業が選択できるようですね。教科書もありますね。金融庁が乗り出すのではなくて、そもそも自分を守る「ファイナンス」を高校の授業ですればこんな商品は売れないのでしょうね。しかし、こんな商品を売らなければならない投信会社の「プロ」の方々は給料のために「割り切って」運用、販売しているのですかね。「詐欺まがい」と言われてしまいそうですね。

  2. 特別分配金にも税金をかければ、このような投信は減ると思う。
    銀行から金を下すだけで税金を取るようなものになるから、誰も預けなくなる。

  3. 会社だったら、タコ足配当は違法ですよね。

    それよりも、運用力不足が問題かと思います。
    ヴェリタスのこの特集を読みましたが、直近5年の期間では、
    下落している投信がほとんどでした。儲かっているのは数本でした。
    リーマンショックがあったにしても、枕を並べて討ち死にです。

    儲かっている投信は残高が小さく、残高の大きい投信ほど下落幅が大きい、
    という傾向もありました。
    ということは、銀行・証券が売りやすい商品ほど、リターンが悪い、という結果にもとれます。

  4. 特別分配金にはたしか税金かかるよね。
    10%タコ足でも持っていかれる。

  5. 特別分配金についてですが
    税金がかからないようですね。私の間違いでした。
    すみません。ただし再投資した場合
    手数料はそのまま上乗せされると思います。

  6. 「毎月分配型」の分配金が「運用益+元本」以外のどこかから、
    降って湧いてきたように支払われていると勘違いしている
    投資家(と呼べるのか?)の多さにはいつも驚かされる。
    投信の運用会社が打ち出の小づちを持っているとでも思ってるのか?

    そんなリテラシーの人ばっかりだから、

     年金減額は許さん!
     後期高齢者医療制度は「姥捨て山だ」!
     増税する前に、政治家の給料減らせ!

    とかいう話になって、財政破たんに向かうんでしょうね。

  7. 一個人として、2007年1月グロソブ毎月を200万円分購入し、2011年7月売却129万円+毎月受取総額47万円で損出24万円で、終止符を打ちました。(ギリシャ支援の決定直後の円安と株価の一時的改善のタイミングで手放しました)「現在手放すと、24万円の損出が確定することとなりますが、本当に宜しいでしょうか?」と再三聞かれ、思いとどまる事を勧められましたが、断固拒否。「必ず、再び円高・株価安に戻り、グロソブの価格は下落が進むことを保証しますよ」と支店長に説明し、投資からお別れしました。

    投資は、無くなっても構わない範囲でしか手を出しちゃいけない。
    そもそも、年金の高利回りに対して、投資信託は高リスク低リターン過ぎたと思う。

    ユーロもドルも円もない、全ての貨幣を地球規模で統一させる時が来ている。
    地球全体の人口をどこまで増やし、安定させるか、それを維持するための「モノづくり」をどこで行うのか、国連で特性を踏まえた、各国国益を平準化できる「話合い」を持って対応頂きたいものである。

  8. 証券会社にしてみれば、分配金を再投資してもらえれば
    販売手数料をもう一回稼げるなんて美味しすぎる商品ですね。

    今回の件は、「毎月分配型」の分配金が「運用益+元本」以外のどこかから、
    降って湧いてきたように支払われていると思い込むような
    無能かつ強欲なバカが自称被害者なんだから、
    善良な国民に害はないわけで、別にいいじゃないですか。

    負け組投信に使わなかったとしても、隣国のドラマに騙されて
    イケメン目当てに隣国行って、わけわからんクリームをぼったくりプライスで売りつけられる
    だけです。結局同じことです。

  9. 分配金を年金の様に考えてる人がいるので、そういう人は分配金(特別分配金含む)を減らされると文句を言うのでしょう。
    リスクを取っているのに、その意識がないタイプ。
    ファンドの売り手の立場では、分配金を減らした結果、文句を言われて解約されるのであれば、ファンド自体を廃止せざるを得なくなるまでは、分配金を維持するほうが合理的ですよね。
    結局は買い手のリテラシーが低いので、それに合わせた商品が作られているのではないでしょうか。
    金融庁にはファンドを取り締まる活動をするだけでなく、国民全体のマネーリテラシー教育の旗振りも担って欲しいです。

  10. 以前、毎月分配投信を愛国ファンドと言われてましたが、笑っていられなくなりましたね。

    >尖沙咀
    不都合な真実なら、アル・ゴアの方が有名では?

  11. まさに投資信託業界と言うか金融業界の不都合な真実。
    橘さんのコメントもいつもの辛辣な皮肉めいたものがなく
    ストレートな批判の言葉が、事態の深刻さを象徴している様に思えます。

    個人的に気になるのがまさかとは思いますが、公的年金の運用もこうした
    タコ足配当的なもので行われていないかということと、
    これらタコ足配当的投信の手数料がインデックス運用に比較して
    高くないかということ。
    (顧客に損させて儲けるのは金融業界位ですが)

  12. たこ足配当自体は資産が顧客側に移動しただけなので決して悪いことでは
    ないと思いますが、まやかしの分配金利回りで毎月銀行に振り込まれればそれで
    いいと思っている金融リテラシーの低い人たちがいかに多いか、よくわかりますね。

  13. 顧客は個人年金的な感覚で利用してると思います。
    退職金などで手許に大金をおかずに月々の小遣いとして配当を受け取っている方が多いのではないでしょうか。
    配当に元本取り崩し部分が含まれるのは承知の上だと思いますよ。

  14. 元運用会社の人間です。分配金の制度的に完全に問題ないとは言い切れません。しかし、分配金の会計処理に関しては、購入の前だと投資信託説明書(請求目論見書)、購入後の運用報告書の会計の記載項目なので、運用会社にとって特に『不都合な真実』ではないです。
    一部誤解を招くようなことが書かれているので、その点については説明させていただきます。

    1、元々『分配金』と『配当金』は制度的に異なるもので、会計の処理ルールが違います。
    投資信託は合同運用なので基準価額が高いところで買われる方や、安いところで買われる方がいます。それを会計上一律に処理しているため、受益者にとって差が出たりします。それなので単純に1年で比較するとミスリードするように思います。
     分配金の分配方針、分配金に関する利益の内訳、決算内容は投資信託のPLを見れば確認できます、請求目論見書や運用報告書の必須記載事項です。分配方針の欄と決算書の分配金の内訳で確認できます。HPにも掲載してあるので、もし、項目のところで分からないところがあれば投資信託協会や運用会社に確認すれば教えてもらえます。投資信託の場合は、決算書類等は公認会計士の監査も受けていますし、当局の検査や投資信託協会の検査も定期的にあります。
     運用会社によっては簡略化した分配金の内訳を決算日翌日にHPに掲載したり、月報等のレポートで確認できます。

    2、分配金は①決算期の配当、金利収益等、②決算期のキャピタルゲイン、③投資環境がよかったときに分配金として出さずにいた配当金、金利収益、キャピタルゲイン等(繰越分配可能原資)から出します。
    いわゆる分配型の投資信託に関しては、大体分配型と非分配型セットで設定します。例えば、グローバルソブリンオープンですと、毎月決算型と1年決算型です。
    そのため、会計上許される範囲で分配型投信は極力利益を安定的に分配する戦略を取ります。決算期の配当、金利収入等は全額分配できるので使ったりとか、投資環境がよかったときに分配金として出さずにいた分配金として出せる部分等(繰越分配可能原資)から出します。そのため基準価額が下がった局面で分配金を出せるのは①+③を使っているからです。

    3、私としては、公募投信の運用会社が、違法なことをおこなっていたり、不正を行っていたりしているわけではなく、決算内容に関しては情報開示を行っているので、その点はご確認いただきたいと思っています。その点は誤解があると思っています。
    しかし、会計的に無理やり一律ににしているため、各投資家間の不公平感をどう処理するのかというところの会計処理には議論の余地は大きくあると思っています。
    あと、完全に個人的な意見なのですが、マクロ的にみると個人金融資産に占める投資信託の割合は現状3-4%です。それなのでリスクをとる人が多いのではと昨今は思っています。
    あと、特にこの10年ぐらいで理論的に固まってきた、旧来のモダンポートフォリオ理論と異なり、取り崩しを前提としてポートフォリオを考えるという考え方が年金基金等を中心に出てきています。個人の方のニーズもそれに近いものだと考えています。

    長文かつ駄文で申し訳ございませんでした。

  15. >元運用会社の人間
    >公募投信の運用会社が、違法なことをおこなっていたり、不正を行っていたりしているわけではなく、

    橘さんは、違法だとか不正ということではなく、
    お客様に対して不誠実だという趣旨で言っておられるように思いますが。

    ところで、元運用会社の方ということでお聞きしたいことが。
    橘さんの著作でも、大半の投資信託のパフォーマンスはインデックスに劣るという事実が
    紹介されてますが、運用会社の方々はこうした現状をどう思っておられるのですか?
    客にインデックス以上の損をさせておいて、ポートフォリオ云々を語る資格はありますか?

    私はメーカーの研究開発部門勤務ですが、自分の仕事のパフォーマンスが素人さんに劣るなどと
    いう事になったら辞表出しますよ。
    もちろん、投資信託の現状には呆れているので、一切投資してません。

  16. >橘さんは、違法だとか不正ということではなく、お客様に対して不誠実だという趣旨で言っておられるように思いますが。
    橘さんの趣旨はそうですね。私が申し上げたかったのは、一部誤解されていた方が見受けられたのと、開示もしてあるし、コールセンターもあるので確認ができますので、納得するまで確認してみてそこから判断されてはということを申し上げたかったのです。不都合ではないことなので。

    >ところで、元運用会社の方ということでお聞きしたいことが。
    >橘さんの著作でも、大半の投資信託のパフォーマンスはインデックスに劣るという事実が
    >紹介されてますが、運用会社の方々はこうした現状をどう思っておられるのですか?
    >客にインデックス以上の損をさせておいて、ポートフォリオ云々を語る資格はありますか?
    ベンチマークがあるアクティブファンドの場合、ベンチマークを下回るのは完全に運用会社の責任と考えています。運用会社で評価されるためには、ベンチマークを上回り、上位25%に入らないと評価されません。もちろん運用のあり方を見直したり、運用が悪いとやはり人事評価にも関わりますし、国内大手ですと長期的に悪いとインデックスファンドの運用担当者になるとかバックオフィスに異動になることも多いです。外資ですとクビとか部門閉鎖とかあります。1年だけです判断しにくかったり、たまたま運がよかった悪かったがありますが、3年以上ですとファンドの運用、資金流出入に差が出て人事評価等も大きく影響します。評価機関もなのですが大体3年が評価の目安ですね。インデックスファンドやETFも運用していますので、どちらが良いという話はあまりないです。良いアクティブはインデックス上回りますし、ダメなものはダメ。

    >私はメーカーの研究開発部門勤務ですが、自分の仕事のパフォーマンスが素人さんに劣るなどという事になったら辞表出しますよ。
    おっしゃりたいことはごもっともです。投信は合同運用なのでメリットもあればデメリットもあります。日本株の個別銘柄投資は簡単にできますので、ちょっとメーカーの研究開発とは事情が違うかもという感じです。

    長くなってすみません。宜しくお願いします。

  17. >元運用会社の人間 さん
    レスありがとうございます。
    要は、
    Q:投資信託のパフォーマンスはひどくないですか?
    A:信賞必罰の仕組みはあります
    というお答えですね。客が損した後で処分されても損失は帰ってこないし、
    平均パフォーマンスはひどいままなので、信賞必罰の仕組みが機能していないということですね。
    事前に評価する仕組みは無いにもかかわらず、投資のプロですと名乗って投資信託を
    売ってるわけですね。
    もちろん、事前に評価する仕組みなんて私にも分かりません。だから、投資信託は買ってませんし、同じ日本人がそういうものを売っているという事に、
    人としていかがなものかと言いたくなる感情はあります。

    >日本株の個別銘柄投資は簡単にできますので、ちょっとメーカーの研究開発とは事情が違うかもという感じです。
    日本株の個別銘柄投資と同様に、ソフトウェア関係の研究開発の仕事のなかには
    設備投資や知識の蓄積を必要とせず、アタマで勝負するものも多くありますが、
    プロの平均が素人の平均と同じか負けるなんて事はありえませんが。
    投資のプロだと謳っているのは嘘なのですね。

  18. ゼロ・サムの世界とアド・オンの世界を同列に論ずるのもどうかな。

  19. 個人的には、株や投資信託ではなく、有価証券報告書だけを売買したいものです。

  20. k.o.m さん:
    >ゼロ・サムの世界とアド・オンの世界を同列に論ずるのもどうかな。
    ・ベンチマークに対するパフォーマンスを比較するのであれば
     両者の違い(過去のアド・オンの影響)をキャンセルできると思います。
    ・投資信託はプロの専門家集団です、素人には無い調査チームを持ってますと
     謳っている以上、ゼロサムの勝負しかできてないということがあってはならないですよね。
     首を締めてるのは彼ら自身なので、k.o.mさんがそういう助け舟を出す必要は無いかと思います。

  21. もともと、投資自体がゼロ・サムゲームなんだからプロなら絶対不敗ってことはないんじゃない。
    LTCMの例を見てもわかるようにノーベル賞をもらったほどの人がやっても負けるときは負けるんだからね。

  22. k.o.m さん:
    >もともと、投資自体がゼロ・サムゲームなんだからプロなら絶対不敗ってことはないんじゃない。

    そうだから、アクティブ型の投資信託なんておかしい。
    規模のメリットで手数料を抑えたことを売りに
    インデックス売るだけにしとけ、といのが橘さんのご意見で、
    私もそれに沿って書き込んでいるんですが。

    まあ、そんな事はここを見てる皆さん分かってるんですが、
    そこへ運用会社の方が出てきて、誰も違法性の話なんてしてないのに
    違法じゃない!違法じゃない!と主張しておられたので
    意図を図りかね、質問したわけです。

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