遺伝子決定論?

『残酷な世界~』は、幸いなことに、多くの方に読んでいただけているようです(ありがとうございます)。

作品の評価はもちろん読者の自由なのですが、レビューを見ていると、「遺伝子決定論」という表現が目についてちょっと気になりました。たしかに「遺伝的なちがいが人生に大きな影響を与える」と書きましたが、これは遺伝子決定論ではありません。細かなことのようですが、大事な点なので、ちょっと説明しておきたいと思います。

それによって、本書が遺伝的な影響を強調しすぎているのではないかという勝間和代さんの疑問にもお答えできると思います。 続きを読む →

認知症と安楽死問題

発売中の月刊『文藝春秋』11月号に、「医療の常識を疑え」という特集の1本として、「月10万円で完全介護 海外老人ホームで死ぬ選択」というルポを書いている。フィリピンに移住した日本人高齢者を取材した記事だが、日本の介護事情との比較のために都内の特別養護老人ホーム(特養)と有料老人ホームにも話を聞きにいった(残念なことに、紙幅の関係で本文には使えなかった)。 続きを読む →

自殺志願者に安楽死を

フランスの片田舎に住む20歳の青年ヴァンサンは交通事故で重症を負い、9カ月の昏睡状態に陥った。意識が回復した時、彼の全身は麻痺し、唯一、親指だけがわずかに動いた。ヴァンサンは親指を使って、愛する母親と会話を交わすようになった。彼が望んだのは、この悪夢のような人生を終わらせることだった。 続きを読む →