「アメリカはなぜ銃社会なのか」でナッシュ均衡について説明しましたが、ここでは、日本とアメリカの雇用制度がふたつの解を持つナッシュ均衡であるという観点から、「サラリーマン」がどのように絶滅していくのを述べた『残酷な世界~』の未公開原稿をアップします。
この部分を削るかどうかは最後まで悩んだのですが、論旨が『貧乏はお金持ち』と同じなので、可読性を重視することにしました。
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経済学者の青木昌彦は、日本の会社とアメリカの会社の違いをナッシュ均衡で説明している(『経済システムの比較制度分析』〈東京大学出版会〉)。
日本の大企業の多くは、いまでも終身雇用と年功序列を採用している。これは日本の会社が従業員を長期で働かせたほうがいいと思っていて、同時に日本の労働者が、同じ会社で定年まで働いたほうが得だと考えているからだ。お互いの思惑が一致しているから、日本の労働慣行は相互依存的でなかなか変わらない。 続きを読む →