リバタリアンの主張は、思考実験としては面白いけれど、まったく現実性がないと思われている。だからここでは、一般に解決不可能と思われている社会問題に対して、リバタリアンだけが現実的な解決案を提示できることを示したい。
解決不可能な問題とは、生活保護と年金の逆転だ。
国民年金の保険料を40年間支払うと、65歳から満額で月額6万6008円の老齢基礎年金が支給される(平成21年度)。
これに対して65歳の単身者が生活保護を受給すると、月額6万3000円~8万円(地方で低く都市部で高い)が生活扶助として支払われ、これに家賃相当分の住宅扶助を加えると、東京などでは扶助総額は月額13万円を上回る。さらに年金受給者は、医療や介護サービスの一部が自己負担になるが、生活保護なら全額公費で賄われる。
年金と生活保護の受給額がこれほどまでにちがうと、「年金を払わずに生活保護を申請した方が得だ」という意見に反論するのはむずかしい。国民年金は、「正直者がバカを見る」制度になってしまっているのだ。 続きを読む →