生活保護と年金の逆転を解決する唯一の方法

リバタリアンの主張は、思考実験としては面白いけれど、まったく現実性がないと思われている。だからここでは、一般に解決不可能と思われている社会問題に対して、リバタリアンだけが現実的な解決案を提示できることを示したい。

解決不可能な問題とは、生活保護と年金の逆転だ。

国民年金の保険料を40年間支払うと、65歳から満額で月額6万6008円の老齢基礎年金が支給される(平成21年度)。

これに対して65歳の単身者が生活保護を受給すると、月額6万3000円~8万円(地方で低く都市部で高い)が生活扶助として支払われ、これに家賃相当分の住宅扶助を加えると、東京などでは扶助総額は月額13万円を上回る。さらに年金受給者は、医療や介護サービスの一部が自己負担になるが、生活保護なら全額公費で賄われる。

年金と生活保護の受給額がこれほどまでにちがうと、「年金を払わずに生活保護を申請した方が得だ」という意見に反論するのはむずかしい。国民年金は、「正直者がバカを見る」制度になってしまっているのだ。 続きを読む →

日本人はなぜ自殺するのか?

日本では、毎年3万人を超えるひとたちが自らの意思で死を選んでいる。これは、「市場原理主義」による改革により、日本人の安心が奪われてしまったからだと説明される。

だが国際的な自殺率の比較を見ると、日本の自殺率(10万人あたりの自殺者数)が24.4なのに対し、市場原理主義の国アメリカの自殺率は11.0、イギリスにいたっては6.4だ。この統計を素直に解釈すれば、日本をアングロサクソン型の市場原理主義国家にすれば、年間1~2万人のひとが自殺から救われることになる。市場原理と改革を声高に批判するひとたちは、これをどのように説明するのだろう。 続きを読む →

円高は神風?

あなたが1本10円のボールペンを100本持ってるとして、そのボールペンを1本100円で買いたいという奇特なひとが現われたとしたらどうするだろう。売るのを拒んだり、「10本だけ」という売り惜しみはぜったにしないはずだ。

「日本の個人資産で世界支配?」で書いたけれど、世界金融危機による世界的な株価の下落(といっても、いまはだいぶ戻ってきた)と円高によって、「強い円」で世界の株式市場の半分を買い占められるようになった。それなのになぜ日本国は、国債(外国為替資金証券)を発行して為替介入を行ない、外貨建て資産を購入しないのだろうか。私には、それがずっと不思議だった。 続きを読む →