女は男より競争が得意? 週刊プレイボーイ連載(246)


「女性は男性より競争に消極的で、出世争いで不利だ」といわれます。これは根拠のない偏見ではなく、次のような実験で確認されています。

男女2人ずつのグループに計算問題を解いてもらい、正解すると100円の報酬を支払います。5問解けば500円もらえる「出来高払い」の条件では、男女に成績の差はありませんでした。

次に4人を競争させ、もっとも多く問題を解くと賞金の全額を受け取れるという「勝者総取り」にルールを変えてみます。自分が6問解き、残りの3人が5問なら2100円もらえるのですから、みんな必死に問題に取り組みます。この競争によって全体のパフォーマンスは向上しますが、やはり結果に男女差はありませんでした。

最後に研究者は、男性と女性の参加者にどちらのルールが好ましいか訊きます。すると、勝てる確率は同じにもかかわらず、男性の7割強が「勝者総取り」を選び、女性の7割弱は「出来高払い」を望んだのです。

女性の「競争嫌い」は脳科学でも説明できます。脳の後部に位置する視覚大脳皮質は相手の表情から感情を読み取ることに関係しますが、ストレスを与えられると女性はこの領域が著しく活性化するのに、男性は逆に活動が抑制されます。これは緊急事態への対処法が男女で異なるためで、強いストレスを受けると女性は周囲のひとたちの共感を捜し求めるのに対して、男性は周囲の反応を無視して問題に集中しようとするのです。

進化の歴史を通じて、男性(オス)は「競争する性」、女性(メス)は「投資する性」として淘汰の強い圧力を受けてきました。女性を獲得できなければ子孫を残せない男にとって失うものはありませんが、女性は妊娠から授乳まで大きな投資をして子どもを産み育てます。失うものが多ければ、リスクに対して慎重になるのは当然です。

あらゆるゲームに共通するのは、「リスクをとらなければ勝利はない」ということです。男女の生理的な差を考えれば、競争社会の勝者に男性が多いのは「ガラスの天井」のせいではなく、参加者の数のちがいということになります。

しかし、競争にはもうひとつ、「負ければなにも得られない」という現実があります。リスクをとった勝者の背後には、敗者となって脱落していく膨大な数の男性がいます。彼らが社会の底辺にふきだまるようになったのが「格差社会」です。

こうして、問題はじつは無謀なリスクをとる男性の側にあるのではないか、との主張が出てきます。男性は自分の能力を過信して「勝てる」と錯覚しており、女性は自分の実力を冷静に判断して不利な競争を避けているのです。この仮説を証明するように、勝つ見込みがあると思えば、女性は男性よりも積極的にリスクをとり、勝負に執着するとの研究も現われました。

現代のような複雑な社会では、勝ち負けはスポーツのようにすっきりとは決まらず、優勢と劣勢が入れ替わりながらずっと続くのがふつうです。男性は決着のつく「有限ゲーム」は得意ですが、終わりのない「無限ゲーム」を生き延びるには、不利な競争を避けて有利なときだけリスクをとる女性の戦略の方が効果的です。

こうして先進国では、徐々に女性が社会の中核を占めるようになってきました。日本は男女平等ランキングで世界最低レベルの101位ですが、「女性が活躍できない社会に未来はない」のです。

参考:ポー・ブロンソン、アシュリー・メリーマン『競争の科学-賢く戦い、結果を出す』 実務教育出版

『週刊プレイボーイ』2016年6月13日発売号
禁・無断転載

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12件のコメント

  1. >こうして先進国では、徐々に女性が社会の中核を占めるようになってきました。日本は男女平等ランキングで世界最低レベルの101位ですが、「女性が活躍できない社会に未来はない」のです。

    それならば、全世界で過去になぜ成功した経営者、政治家、科学者、文学者、哲学者、技術者、芸術家etc
    の分野において女性が少ないのか?という疑問が残るでしょ?
    イスラム社会ならともかく、現在の日本や西欧社会で女性が抑圧されている
    とは考えにくはずです。
    逆に国際スポーツの分野では、日本では女性の方が活躍しています。

    この結論は、橘さんもお分かりの通り、

    男性と女性ではその集団の標準偏差(σ)が違い、多くの分野で男性の方がσが
    大きい、つまり男性の方に天才も白痴も多いからというのが結論です。

    右脳と左脳―天才はなぜ男に多いか ノーマン ゲシュヴィント https://www.amazon.co.jp/dp/480790339X/ref=cm_sw_r_tw_dp_C51zxb81GZN9M

    標準偏差が大きいからこそ、リスクテイカーになれるわけで、
    アップルやグーグルの創業者が全員男性なのはこのためです。

    逆に女性であっても、アップルやグーグルがない社会だと困るはずです。

    脳科学や進化心理学などを論じるなら、もうチイと勉強した方が良いですよ。

  2. このブログ面白いんだけど、常連のコメントがうざいですね

    自分で思ってるほど頭良くなさそうな人ばかり

  3. >>2

    定期的といっていい程にあなたのようなコメントがつきますが、放っておけばいいのです。
    そのコメントで、あなた自身が常連以下か、せいぜい同じ程度だと言うことを確認する必要はないのです。

  4. >こうして、問題はじつは無謀なリスクをとる男性の側にあるのではないか、との主張が出てきます。男性は自分の能力を過信して「勝てる」と錯覚しており、女性は自分の実力を冷静に判断して不利な競争を避けているのです。この仮説を証明するように、勝つ見込みがあると思えば、女性は男性よりも積極的にリスクをとり、勝負に執着するとの研究も現われました。

    >現代のような複雑な社会では、勝ち負けはスポーツのようにすっきりとは決まらず、優勢と劣勢が入れ替わりながらずっと続くのがふつうです。男性は決着のつく「有限ゲーム」は得意ですが、終わりのない「無限ゲーム」を生き延びるには、不利な競争を避けて有利なときだけリスクをとる女性の戦略の方が効果的です。

    だから、国際競争も激しい今の時代、女性進出しなければ生き残っていけないのなら、
    もうすでにそうなっているはずだっていうことなのです。
    これについての反例は、橘さんも読んだことがあるだろう「ファスト&スロー」を引用しておきます。

    第24章、資本主義の原動力――楽観的な起業家:楽観的な自信過剰が楽観バイアス。意思決定にあたっては、よい面も悪い面もあるが、「ものごとを実行する段になったら、楽観主義はプラスの効果の方が大きいだろう。」「学術研究も失敗率が高く、楽観主義が成功に必須の分野ではないかと私はつねづね考えている。」 

  5. 「言ってはいけない」では言及されていませんが、男性脳と女性脳では明確に差異があります。

    さらに、胎児期に浴びた性ホルモンでその人の性格が決まるという話があります。
    胎児期にテストステロンが少なかった人はゲイになりやすいとか。

    人差し指と薬指から分かる、性格、才能、罹りやすい病気
    http://omoroid.blog103.fc2.com/blog-entry-186.html

  6. 尖沙咀さん

    >男性と女性ではその集団の標準偏差(σ)が違い、多くの分野で男性の方がσが大きい、つまり男性の方に天才も白痴も多いからというのが結論です。

    私の感覚では、白人に天才も白痴も多いというのがあります。ですので、白人の男性が世界を動かしていることに納得しています。

  7. オンナの方には、良い意味で素直な人が多いです。進化論的には、採集時代に住居の洞穴
    付近で他のオンナ衆と井戸端会議(その頃に井戸はないけど)を和気あいあいとするのが、
    コミュ術的な戦略となります。オンナの序列はそこで決まるので「わかる、わかるよぉ」
    「大変だねぇ」「そりゃ、ダンナが悪いよねぇ」とか、まず肯定が必要となるのです。

    自動車運転、語学、スポーツなど、どこの学校の講師も「女性は素直だから上達が早い、
    男性は私の言う事を聞かずに、自己流に勝手にやる、なかなか上達しないわな」などと
    言います。

    オトコの方には、私もそうなのですが「俺ガー」で、頑固というか一徹な人が多いです。
    こちらのコメント欄にもそのようなコメントが載りますが、多分オトコだと思います。
    集団の狩りだといっても、獲物にトドメをさすものが英雄となり、ボスになりますから、
    オトコはとにかく目立ってナンボ!の押しの強さが必要になるからです。

    こう考えると、現代社会にはオトコよりオンナの方が適しているような気がします。
    腕力はタイピングできる程度あればいい。グローバル化した人材ヒエラルキーでは、
    頂上はわずかな人数でも、中間底辺は膨大な数になります。採集時代の小集団のボス
    のポストはもうありませんから、巨大な中間層で活躍できるのは、肯定話法で相手の
    意見をよく聞き出せるコミュ力あるオンナです。

    聞き分けのないオンナも多いけど・・

  8. だから、
    「性差」というのは厳然として存在することが明らかなのに、

    「言ってはいけない」
    では言及されていないことは、
    ちょっとあざといっていうことなのです。

    モダンポートフォリオ的にいえば、

    職種によって、
    「男性と女性」のベストミックス比
    つまり、

    「効率的フロンティア」が存在する

    ぐらいのことを言っておけば良いのです。

  9. 勝者の価値は敗北者の数で決まるのに「勝てる勝負しかしない奴」が多くなったら競争意欲が低下して世の中回らないんだよ。負ける可能性が高いのに挑むバカがいるから競争が発展し慰謝会が発達していくの。女が自分の身可愛さに慎重で有り続ける限り男の捨て駒としての役割は必要になる。

    しかしあれだな、女の性質がここに来て重要性が増してきたってのは女にとっては朗報だろうが、男からしたらたまったもんじゃないね。もともと鉄砲玉として、遺伝子かき混ぜるマドラーとして消耗品扱いだったのが、ついに産廃レベルにまで価値が暴落してるわけだ。悲しい通り越して感情なくなるわ、ホント。

  10. >終わりのない「無限ゲーム」を生き延びる

    いつから人間は不老不死になったんだろうw
    普通に超超短い有限ゲームなんですがw

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