大麻バッシングは日本の「精神の貧困」の象徴 週刊プレイボーイ連載(266)


参議院選挙にも出馬した元女優が大麻取締法違反で逮捕されたことが、ワイドショーなどで連日大きく報じられました。大麻合法化を公約に掲げて選挙に立候補した以上、確信犯なのでしょうが、残念なのは、離島での暮らしや奇矯な言動が大麻(マリファナ)についての主張といっしょくたにされてしまったことです。

元女優が男性4人と暮らすのは自由ですが、「ふつう」ではないかもしれません。しかし大麻の所持や使用は、いまや先進国では違法とするほうが少数派になっています。

オランダでは早くも1970年代に大麻が解禁されましたが、イギリス、ドイツ、フランスなどヨーロッパの主要国でも、法律上は違法とされていても個人による栽培・使用は放任されているのが実情です。アメリカでは州ごとに規制が異なりますが、医療用大麻は多くの州で合法化され、コロラド、ワシントン、オレゴン州では個人使用の嗜好用マリファナも合法化されています。またカナダでも、マリファナが非罰化されている現状に合わせ、来春を目処に娯楽用の大麻が合法化される予定です。今後、カリフォルニア州やハワイ州が大麻解禁に踏み切れば、観光で訪れた日本人の利用も飛躍的に増えるでしょう(先日の大統領選に合わせて行なわれた住民投票で、カリフォルニア州でも娯楽用大麻の所有・使用が合法化されました)。

近年の大麻合法化の流れは医療用大麻から始まりましたが、これはがんの疼痛治療などで、従来のモルヒネ系鎮痛剤では効果のない痛みをやわらげることがわかったからです。アメリカの大麻合法化キャンペーンに巨費を投じたのは「ヘッジファンドの帝王」と呼ばれたジョージ・ソロスで、「わたしは好きでマリファナを吸ってるんじゃない。痛みから逃れるには違法な業者から大麻を買うしかないのだ」という患者たちの生々しい声を伝えて世論を動かしました。

タバコやアルコールよりはるかに依存性が低いソフトドラッグのマリファナに対し、より依存性が高いヘロイン、コカイン、覚醒剤などのハードドラッグは欧米諸国でも厳しく規制されています。ところがミルトン・フリードマンやゲーリー・ベッカーなどアメリカを代表する経済学者(どちらもノーベル経済学賞を受賞)は、ニューヨークタイムズなど一流紙でハードドラッグを含む麻薬の合法化を主張しました。

禁酒法下のアメリカではアル・カポネのようなギャングが密造酒で莫大な利益をあげましたが、14年ちかい「高貴な実験」が大失敗してアルコール飲料の製造・販売が合法化されると闇酒に群がる犯罪組織は消滅し、治安も回復しました。メキシコやコロンビアは麻薬マフィアとの戦いで疲弊していますが、非合法組織が暗躍するのは最大の消費国アメリカがハードドラッグに厳罰を課しているからです。コカインやヘロインの製造・販売を法の管理の下に置けば「麻薬との戦争」も終わり、全米の刑務所から多くの囚人が「解放」されるとともに、中南米諸国の治安も劇的に改善するでしょう。

ところで日本では、「麻薬」をめぐるこうした真面目な話はKY(空気を読まない)として嫌われます。大麻をネタにして“おかしな女”をからかって楽しんでいるのに、水を差されるからでしょう。

この国には、口先で「反権力」といいつつ、権力のつくったルールを疑うこともなく、誰にも迷惑をかけていない個人を嬉々としてバッシングするひとがたくさんいます。この思考停止と精神の貧困に、いまの日本社会が象徴されているのでしょう。

『週刊プレイボーイ』2016年11月14日発売号
禁・無断転載

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大麻バッシングは日本の「精神の貧困」の象徴 週刊プレイボーイ連載(266) への51件のフィードバック

  • 禁止の合理性 のコメント:

    どんな合理性があるのでしょう?

    特に酒、タバコとの対比でお願いします。

  • 尖沙咀 のコメント:

    そもそも国内で自生していた
    大麻は、成長速度が早いことはご存知ですよね。

    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%BA%BB

    ということは、うちの親戚もやっていた「タバコ農家」にとっては、

    「脅威の商売敵」

    に他ならかったわけです。

    以前はタバコは専売公社という国営企業がやっていたことから明らかなように、

    農家や国家の

    「金づる」

    だったわけです。

    そこに成長の早い大麻が入ってくることは、国家や農家にとって
    「不愉快な真実」
    だったというわけです。

    >この国には、口先で「反権力」といいつつ、権力のつくったルールを疑うこともなく、誰にも迷惑をかけていない個人を嬉々としてバッシングするひとがたくさんいます。この思考停止と精神の貧困に、いまの日本社会が象徴されているのでしょう。

    「酒」もおなじで、自分でドブロクを作って自家消費するだけの
    誰にも迷惑をかけていない個人
    をやり玉にあげてきたのは、

    国家の徴税権の侵害に他ならないわけです。

    もちろん国家の枠外からでれば、このクビキから離れることは可能です。
    そのかわり「国家の庇護」からは離脱することが前提です。

  • 匿名 のコメント:

    〉メキシコやコロンビアは麻薬マフィアとの戦いで疲弊していますが、非合法組織が暗躍するのは最大の消費国アメリカがハードドラッグに厳罰を課しているからです。

    と規制や厳罰の無意味さについて仰りますが、橘さんはすこしまえに

    〉どれだけ麻薬密売人が殺されようと外国はなんの迷惑も被らないのですから、「内政不干渉」の範囲内ともいえます。

    とフィリピンの超厳罰方針を容認しているんですが?
    結局一貫性なくどっちでも正解なら、フロイトの精神分析並みになんの意味もない文章です

  • 素晴らしい記事 のコメント:

    私は中学生のころ、近所のおじさんにレイプ未遂されました。
    その後、男性恐怖症になり、人を好きになると言う感情も失われました。もちろん、そのあと普通に恋愛もしましたが、セックスが苦痛で恐ろしくて、いつも死ぬことばかりを考えていました。
    海外留学して大麻と出会ってなければ、私は今頃生きていませんでした。
    一度も幸せと感じることなく、こじらせ女子になり、みずから命を絶っていたと思います。

    私は、何か過去に闇を抱えている人のためにも
    大麻で救える命があると言う事を、声を大にして言ってくれる人が増えることを祈っています。

    過去に闇を抱えた私の友人は、頑なに日本の悪法に洗脳され
    コレステロールだけを気にして生きて、薬は風邪薬すら怖いと言って
    アルコールとタバコ依存症になり40歳を目前に自殺してしまいました。

    よく、アルコールとタバコは国が認めているものなんだから、いくら飲んでも大丈夫とか言ってベロベロに酔っ払って電話してきました。彼女はスマホすらも使いこなせない情報弱者でした。

    情報弱者は日本という国に殺されていることに気が付いていません。
    なぜなら情報弱者だから。

    厚生労働省の天下り先は大手の製薬会社がずらり。
    去年も大手製薬会社からお金を受け取っていた厚労省の人が内部告発されていました。

    その厚労省が、大麻を、なんの根拠もなく研究すらダメという理由は
    結局、お金の問題だけなんですよね。

    フェイピンのドゥテルテ大統領ですら、医療用大麻はOKと言っている時代に
    日本は、後進国以上に遅れている。そして、情報弱者が多すぎる。

  • ユキ のコメント:

    AUSに留学してた時はけっこう身近で普通の人達が嗜好品として使ってるのを
    経験してて大麻がどんなもんか大体わかってるから、個人的には家の中やどっかの島や
    クラブの隅っこでおばさんやお兄さんが草吸ってようが個人的にどうでもいいので
    毎日ワイドショーでヒステリックに騒いでるのはちょっとうざかった。
    もっと楽しいニュースを流しんちゃいと。

    むしろ個人的には街中にわんさかあるパチンコ屋の方が社会にとってよっぽど
    有害だと思うんだけど、そこはマスコミさんはスルーなんやねって思うよね。

    ちなみに日本で買うとクソ高くて捕まったら必ず起訴される大麻をわざわざ日本で
    吸う人はおバカではあると思います。数百円でお酒が飲めるのに。

    本当はみんなでわいわいするときはお酒飲んだり、ゆっくり読書の時は大麻吸ったりと
    使い分けできたら、もっと時間の楽しみ方が選べるんやけどね。

  • のコメント:

    飲めないひともいる

  • のコメント:

    飲めないのに強制されて苦痛
    大麻なら楽しめるかもしれない

    大麻より酒の強制を取り締まって欲しい

  • をぐら のコメント:

    若い時に海外旅行で大麻をけっこう吸ったけど、どうってことない。
    ただの嗜好品に過ぎない。
    むしろ、アルコールの飲みすぎのほうがよっぽど危険。

    かつて、橘さんが沖縄をタックスヘイブンにしてはどうかと書いていたけど、僕は大麻解禁特区にしてみてはどうかと考える。
    旅行者が増えるし、大麻に対する理解も進むだろう。
    沖縄の人達は、俺たちを実験台にするのかと怒るかもしれないけど。

  • 特区 のコメント:

    特区を募集するのはあり
    沖縄が応募するならもちろん認める
    あとは被災地とか
    これも応募ベースで

  • 尖沙咀 のコメント:

    ザ・ビーチのネタバレあらすじ 結末

    この先、映画「ザ・ビーチ」のネタバレあらすじを結末まで解説しています。「ザ・ビーチ」のネタバレを含むストーリーをラストまで紹介していますのでご自身の判断で読み進めてください。

    ザ・ビーチのネタバレあらすじ:リチャードのたどり着く場所

    世界旅行が大好きな青年であるリチャードはタイのバンコクに到着しました。彼はゲストハウスでスコットランドの旅行者と会い、無人で禁じられたところである美しいビーチとラグーンを紹介してもらいます。このスコットランド人は去ってしまいますが、リチャードは興味を持ち、フランスのカップルを説得し、一緒に島まで行くように言います。ゲストハウスを出て行く前に、リチャードは地元の人に島の地図を写した紙をこっそりと置いておきます。リチャードたちはバンコクからサムイ島の岸まで移動し、そこでアメリカ人のサーファーと出会います。そしてリチャードたちは島へ行く途中に巨大な大麻農園に出くわしたりしながらも海を泳いで目的の島へたどり着くことができました。

    ザ・ビーチのネタバレあらすじ:島のコミュニティ

    島へついた彼らは眼下の湖に着水すると、この島でコミュニティを作っている人たちに見つかってしまいます。彼らは30人からなる国籍豊かなバックパッカーから成り立っており、このコミュニティの指導者的立場であるサルという人物が、リチャードにどれぐらいの島の知識を所有しているのかと尋ねます。コミュニティの人々は調和を大事に考えており、リチャードはサルにこの島の地図を誰にも教えていないと嘘をついてしまいます。

    ザ・ビーチのネタバレあらすじ:恋と牧歌的生活

    そしてある夜、リチャードはフランス人のカップルの女性と島を歩き、彼女と恋に落ちてしまいます。このことを知った彼女の恋人は、仕方なく彼らのことを許してしまうのでした。しばらくしてリチャードはこの島で牧歌的な生活を楽しむようになります。そのような生活を続ける中、リチャードは必需品を得るためにタイまで行くこととなり、タイへ行きますが、そのときに地元民とともにいるアメリカのサーファーに出くわします。リチャードが彼らに地図の写しをあげてしまったことはサルにも伝わってしまい、リチャードは秘密をサルと共有するために彼女と関係を持ってしまいます。

    ザ・ビーチのネタバレあらすじ:指導者の方針

    島では数人がサメに襲われてしまい、1人が重症を負ってしまいます。しかし、サルは重症患者を病院に連れて行こうとはしませんでした。なぜなら医療をすることで島の秘密がばれてしまうからです。サルはこの男性の面倒を見るようにとリチャードに頼み、その間、フランスの女性がリチャードに会い、彼らの恋をサルがコミュニティの人間たちに話したと言います。

    ザ・ビーチのネタバレあらすじ:リチャードの幻覚と島の現実

    リチャードは食物不足と低血圧症のために幻覚を見るようになり、兵隊ごっこなどを始めてしまい、夜にこっそりと農民キャンプに入ると、そこで眠っているリーダーにライフルを向けます。サーファーたちはついに島へ到達しますが、逆に農民に見つかってしまい、彼らは射殺されます。リチャードは彼らが殺されるところを目撃し、恐ろしさから走ります。そしてリチャードは現実に戻り、島を脱出するためにフランスのカップルのもとへ行き、彼らに状況を話しますが、彼らは留まることを決意し、そうこうしているうちにリチャードは農民に頭を打たれて気絶してしまいます。

    ザ・ビーチの結末:コミュニティの崩壊

    彼が目を覚ますと、周りは農民に囲まれ、そしてサルが立っていました。島の人はサルに銃と弾丸を渡し、リチャードを始末しようとしますが、決断することができず、ついにコミュニティは崩壊し、彼らのほとんどはタイ本土へ渡ろうとし、リチャードも本土へ戻ると、インターネットカフェへと立ち寄ります。

    http://eiga-watch.com/the-beach/

  • のコメント:

    大麻や大麻女優をさんざんバッシングしてドヤってた人たちって

    いずれ日本でも大麻が解禁されると思うが、もし大麻解禁したら

    「やっぱり大麻って素晴らしい!」とか平気で言っちゃうんだろうね。バカだから。

    宮根誠司とか、ミヤネ屋でさんざん「大麻は麻薬絶対やったら犯罪だ!大麻を合法なんてアホ!」くらいに言ってたんだから、土下座して謝ってほしいよね。

    最低限、自分たちの情弱っぷりをテレビでひけらかさないで欲しい。
    どれだけ製薬会社からお金もらっていたのか知らないけどね(笑)

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