日本人を好きだけど嫌いなあなたへ 『(日本人)』発売のお知らせ

みなさまへ

幻冬舎から、『(日本人)』が12日に発売されます。「かっこにっぽんじん」と読んで、「“日本人”をいちどカッコに入れてみよう」という意味を込めました。

都内の一部書店では、すでに店頭に並んでいるようです。Amazonでも予約注文が可能になりました。

私たちはごく自然に、「日本人は」とか、「日本社会は」などといいますが、こうした語り方の背後には、「日本(人)は特別だ」という暗黙の了解があります。論者によって、「日本はスゴい」というひともいれば、「だから日本はダメなんだ」というひともいますが、「世界のなかで特別な私たち」という意識は同じです。

この本では、こうした“日本特殊論”からすこし距離を置いて、「私たちはいったいどんな場所にいるのか?」を考えてみました。それは、「私はいったい誰なのか」という問いでもあります。

これまで日本は、「空気」の支配する社会だとされてきました。しかしここでは、「空気」ではなく「水」から、日本社会を分析しています(「水」がいったいなんであるかは、本書をお読みください)。

私たちはみな、日本(人)が好きで、同時に、日本(人)を憎んでいます。この本を書き得たたことで、私たちの抱えるそんな暗いどうしようもなさの謎を、いくばくかでも解くことができたのではないかと考えています。

私たちは、〈夢〉を語ることが困難な時代を生きています。しかしそれでも、私たちは〈夢〉を見ずにはいられません。

一人でも多くのみなさまに、手にとっていただければ幸いです。

橘 玲