ダイヤモンド社と共同で行なっていた「海外投資の歩き方」のサイトが終了し、過去記事が読めなくなったので、閲覧数の多いものや、時世に適ったものを随時、このブログで再掲載していくことにします。
今回は2014年6月公開の「製薬会社が「病」をつくり出し治療薬を売りさばく -論文捏造問題の背景にある肥大化したクスリ産業の闇」です(一部改変)

******************************************************************************************
「エイズの原因はHIVウイルスではない」という似非科学がアメリカや南アフリカで広まっていることを書いたが、その背景には近代医学があまりに成功しすぎたことがある。
参考:「エイズの原因はウイルスではない」という似非科学は いかに生まれ、陰謀論に変わったのか
ワクチンや抗生物質の発見は医療を飛躍的に進歩させ、人類はこれまで手の施しようのなかった多くの病気を克服した。しかしその結果、医学は治療可能な病気のほとんどをカバーしてしまい、残っているのはがんやエイズ、精神障害など効果的な治療方法がないか、きわめて困難なものばかりだ。製薬事業において、ワクチンや抗生物質に匹敵するイノベーションはもはやありえないかもしれない。
だが薬の特許には期限があり、それが切れると他の製薬会社が同じ成分の薬を製造・販売できる。これが後発医薬品(ジェネリック医薬品)で、研究開発型の大手製薬会社は常に新製品を市場に投入していかないと利益を維持できない。
このようにして製薬会社は、開発できない新薬を無理矢理開発するという歪んだインセンティブをもつようになる。こうした弊害がきわめて大きいのが精神病の治療薬だ。ここでは精神医学の実態を取材したアメリカ人ジャーナリスト、イーサン・ウォッターズの『クレイジー・ライク・アメリカ 心の病はいかに輸出されたか』(阿部宏美薬/紀伊国屋書店)に拠りながら、なぜ日本でうつ病が急増したのかを見ていこう。 続きを読む →