6月14日(現地時間)にテキサス州ダラスで行なわれた日本とオランダの一戦を現地で観戦しました。
会場となったAT&Tスタジアムは地元では圧倒的な人気を誇るアメリカン・フットボールのダラス・カウボーイズの本拠地で、入場者は約7万人とほぼ満席、後半に互いに2点を取り合う展開に大変な盛り上がりでした。
今回驚いたのは、日本人サポの数の多さです。8年前のロシア・ワールドカップでは、ロストフ・ナ・ドヌで行なわれたベルギー戦を現地観戦しましたが、日本人サポは3000人くらいでした。ところが今回は、会場に向かう電車の車内は日本代表のユニフォーム姿ばかりで、すくなくとも2万人は集まったのではないでしょうか。
今回の代表への期待がそれだけ高いということもあるでしょうが、幼い子どもを連れた家族に声をかけると、アメリカで働いているとのことでした。代表のユニを着た男の子と英語で話している親子は、日系アメリカ人でしょう。日本からのサポだけでなく、アメリカに住む日本人や日系人が大挙してやってきたからこそ、この人数になったのだと思います。
同様の現象は他の試合でも見られ、ロサンゼルスで行なわれたイラン×ニュージーランド戦では、アメリカによるイランからの入国禁止もあって空席が懸念されましたが、全米のイラン人コミュニティだけでなく、別の国籍をもつイランのサポが世界中から駆けつけ、巨大なスタジアムをイランのホームに変えました。
韓国×チェコ戦でスタジアムの空席が話題になりましたが、これは試合が行なわれたメキシコのグアダラハラの治安が不安だからで、試合会場がアメリカならやはり在米の韓国人が押しかけたでしょう。アメリカには移民や移民出身者の大きな社会があり、それが熱狂的な応援をつくりだしているのです。
今回のワールドカップでは、チケットの高騰が問題になりました。チケットは下層階のカテゴリー1と、上層階のカテゴリー2に大きく分けられ、グループリーグのカテ1の正規価格は人気カードが450ドル(約7万2000円)、それ以外が350ドル(約5万6000円)ですが、この価格で入手できたのは抽選に当たった幸運なひとだけで、ほとんどはFIFAが行なうリセールで購入したと思われます。
これはいわば「公式転売」で、チケット保有者はできるだけ高く売ろうとし、買い手は少しでも安くてよい席を手に入れようとして、「市場原理」で価格が決まります。
この転売システムによって人気カードの価格はグループリーグで2~3倍、決勝にいたっては10倍以上にもなり、8万ドル(約1280万円)で取引が成立したとして話題になりました。FIFAは転売にあたって売り手と買い手の双方から15%の手数料を徴収しますから、まさに濡れ手に粟のぼろ儲けです。
とはいえ、FIFAのインファンティーノ会長が反論するように、これまでは民間の転売業者が同じことを行なっていて、その利益はいっさい選手などサッカー界に還元されませんでした。転売をFIFAが主催することで、闇業者を排除できるというわけです。
ワールドカップは「世界最大の“推し活”」で、それを移民ですら数十万円のチケットを(無理すれば)買うことができるアメリカのゆたかさが支えているのです。
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