ダイヤモンド社と共同で行なっていた「海外投資の歩き方」のサイトが終了し、過去記事が読めなくなったので、閲覧数の多いものや、時世に適ったものを随時、このブログで再掲載していくことにします。
今回は2020年11月5日公開の「「差別の科学」として忌み嫌われた「現代の進化論」が、 唯一残された「希望」へと変わった」です(一部改変)。

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2016年から4年間のトランプ政権下で、リベラルな知識人のあいだに「このままではアメリカ社会は分裂し、崩壊と破滅が待っているだけだ」との悲観論が広がった。こうした絶望は、新型コロナで露呈された経済格差や人種問題、2020年の大統領選をめぐる混乱によってさらに深まっている。
そんななか、ニコラス・クリスタキスの『ブループリント 「よい未来」を築くための進化論と人類史』( 鬼澤忍、塩原通緒訳/News Picksパブリッシング)は、「私たち一人ひとりが自分の内部に「善き社会をつくりあげるための進化的青写真(ブループリント)を持っている」とのポジティブなメッセージを送る。原題は“BLUEPRINT : The Evolution Origins of a Good Society(青写真 善き社会の進化的起源)”。
クリスタキスは『つながり 社会的ネットワークの驚くべき力』(ジェイムズ・H・ファウラー との共著/鬼澤忍訳/講談社)などの著作で知られるネットワーク理論の第一人者で、新型コロナの感染拡大ではSNSでの積極的な発言が注目された医学者でもある。『ブループリント』は、進化社会学という新たな学問領域の格好の道案内にもなっている。