小池都知事の「保守」VS「保守」戦略は自民党支配を終わらせるか? 週刊プレイボーイ連載(302)


小池百合子東京都知事の側近が「日本ファーストの会」を立ち上げました。党名についてはトランプの「アメリカ・ファースト」とかんぜんにかぶるため批判もあるようですが、そもそも「都民ファースト」が共和党の大統領予備選で躍進するトランプの選挙スローガンから取られたのですから規定の路線ともいえます。

当初は「国民ファースト」を考えていたものの、同名の政治団体がすでに存在することで混乱を回避したともいわれています。しかし「国民ファースト」はフランスで“極右”とされるFN(国民戦線)のスローガンで、移民排斥のイメージとつよく結びついていますから、どっちもどっちでしょう。

自民党を離党して都知事となり、自らの新党を立ち上げた小池氏が、橋下徹前大阪市長の政治手法を徹底的に研究していることは明らかです。その橋下氏は、大阪で圧倒的な支持を得ていたものの、国政進出にあたって石原慎太郎氏の太陽の党と合流し、共同代表制に移行したことで混乱を招きました。橋下氏が大阪の首長の座を離れることができず、国政を任せる「代理人」がどうしても必要だったからですが、「ネオリベ(新自由主義)」の維新の会と「愛国保守」の太陽の党ではあまりに肌合いがちがい、その後の内部抗争と分裂は必然でした。

日本ファーストの会も、まったく同じ問題を抱えています。代表は無名の国会議員で、今後、民進党を離党した大物議員などが加わればたちまち埋没してしまうでしょう。都知事の任期は2020年7月までで、次期衆院選は遅くとも来年末には行なわれますから、それまでに小池氏が首相の座をうかがう国政政党の党首になれるかどうかが第一の課題です。

私にはこの隘路をどうやってくぐり抜けるか想像できませんが、もし小池氏の下で総選挙に挑むことができれば、「日本ファースト」は前回の都議選と同じ状況をつくりだす可能性があります。

安倍政権の賞味期限はそろそろ切れかけており、有権者は「新しい風」を求めています。しかし民進党は、「保守」対「リベラル」の構図に拘泥し、より左の共産党との共闘を模索した結果、党内の保守系議員の離反を招いて解党の危機に陥りました。それに比べて「日本ファースト」は、そのあやうい党名からもわかるように、自民党の右に位置を取り、「保守」対「保守」の争いにもちこむことが可能です。そうなるとリベラル層は行き場を失いますが、共産党に流れるのはごく一部で、ふたつの保守政党から「よりマシな方」を選ぶほかないでしょう。戦後日本政治の自民党支配を終わらせるには、おそらくこの戦略しかありません。

トランプのポピュリズムから選挙に勝つ方法を学んだ小池氏は、最近は自らをマクロン仏大統領になぞらえているようです。フランス大統領選では既成政党は右も左も大きく票を減らし、与党・社会党は壊滅的な敗北を喫しました。この世界的潮流が日本にも及んでいることを見すえているとしたら、新たな「政治的トリックスター」の行動から目を離すことはできません。

『週刊プレイボーイ』2017年8月21日発売号 禁・無断転載

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10件のコメント

  1. 男尊女卑田舎の年寄りは”でしゃばる女”が嫌い。蓮舫も小池も。
    “一票の格差社会の勝ち組”田舎で票を取れないと勝てないよ。

  2. 今日の産経に同業者のタスカ氏がアベノミクスは成功だと下記の記事を載せた。

    http://www.sankei.com/politics/news/170828/plt1708280011-n1.html

    失敗したのは、消費税の増税政策。
    デフレ脱却までは消費税を上げないとしておけば、今ごろもっと明るかったはず。

    安倍さんに代わる政権あれば、上の政策を立案した官僚を更迭すべき。
    増税が歳入を増やすことに逆行することをエリートは理解できてない!

  3. 片手では「遺伝の影響」がすべて!
    (言ってはいけない)

    と言っておきながら、

    もう片手では
    「平均への回帰」があるから
    インデックスファンドを買っておけ
    (臆病者のための株式入門など)

    というのは自家撞着ですよ。

  4. 北と米の恐喝連携により、イージスアシュアを買わされ

    なんかやってる感だけで、税金の価値をアピールしてる!

    デフレ脱却目指し、イージス分の三円安を米に認めさせ

    退場させるべき国策会社残すためなら、政治家を辞めて

  5. >片手では「遺伝の影響」がすべて!
    確かに言ってるね。検索すると出てくる出てくる。
    「遺伝子が全てだから出来ない奴に
    コストを掛けるのは止めろ、無駄 by橘」だっけ。

    >自家撞着ですよ。
    売文屋だからある意味で致し方ない部分もあるのかな、と思う。
    でも馬鹿なやつを鴨にして生き永らえて居るのだから
    少しは感謝でもすれば良いのにね。
    そういうの全くないよな。

  6. こういうのは何処の論壇でも同じだけど小銭稼ぎの売文屋を
    語弊があるがネット界に於ける底辺が
    買い支えている側面があるのだよな。その買い支えられている
    本人はと言えばユーザーに全く感謝していない、というw
    逆に軽蔑している側面も見受けられるくらいで。
    「それで飯を食べているお前は?」とも言えるわけだけど
    欲望の権化である売文屋は何を言われたところで気にも留めない。
    気に留めることがあるとすればビジネス的に
    不味い時だけでそれ以外は基本無視。

    専門書でもない本が飛ぶように売れる
    ベストセラーが大量に出てくる日本で良かったね。

  7. 海外の活字メディアは日本以上の死屍累累。
    FTは日経に買収されるしローリング・ストーンは身売り検討中。
    軽くエンタメ化(俗化)している日本に橘を始めとした
    売文屋は乗っかっているだけなのだよな。
    そんなに有難がる存在でもないのだけどね。

  8. >自家撞着ですよ
    日本で活動していることが既に自家撞着だな。
    税負担すると富裕層が海外に逃げるぞ!と
    捲し立てた数十億の資産を持つ堀江が典型的。
    現状日本への不満タラタラなのに
    何時までも日本で暮らしているからな。
    紛うこと無き日本のシステムに組み込まれた人間。
    批判するなとは言わないが自己弁護の為に
    他を例に出してきたり「日本で」得てきたものを無視して
    不満ばかりブチ撒けるのは卑怯と言わざるを得ない。

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