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	<title>橘玲 公式サイト橘玲 公式サイト</title>
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	<description>Tachibana Akira official site</description>
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		<title>日本人の自画像　拝啓、マッカーサー元帥殿</title>
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		<pubDate>Thu, 17 May 2012 21:00:41 +0000</pubDate>
		<dc:creator>tachibana</dc:creator>
				<category><![CDATA[Libertarianism]]></category>
		<category><![CDATA[政治哲学]]></category>

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		<description><![CDATA[「日本人はどんな場所にいるのか？」で日本人の極端な世俗性について述べましたが、ここでは『（日本人）』から、「拝啓、マッカーサー元帥様」を転載します（一部改変）。 ＊以下の記述は、袖井林二郎『「拝啓、マッカーサー元帥様』に &#8230; <a href="http://www.tachibana-akira.com/2012/05/4294">続きを読む <span class="meta-nav">&#8594;</span></a>]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://www.tachibana-akira.com/2012/05/4292" target="_blank">「日本人はどんな場所にいるのか？」</a>で日本人の極端な世俗性について述べましたが、ここでは<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344021762/aic-22" target="_blank">『（日本人）』</a>から、「拝啓、マッカーサー元帥様」を転載します（一部改変）。</p>
<p><span style="font-size: small;">＊以下の記述は、袖井林二郎<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/%204006030614/aic-22" target="_blank">『「拝啓、マッカーサー元帥様』</a>によります。</span></p>
<p>*********************************************************************</p>
<p>1945年8月30日、連合国軍最高司令官として日本に到着したダグラス・マッカーサー元帥は、敗戦国・日本の統治者であった昭和天皇とアメリカ大使館公邸で会見し、その写真が新聞各紙に掲載された。歴史的なその写真では、昭和天皇は燕尾服姿で直立し、マッカーサーはトレードマークのサングラスこそ外しているものの、ノーネクタイでゆったりと腰に手をあてている。その瞬間に、すべての日本人が、誰が日本国の統治者になったのかを理解した。</p>
<p>昭和天皇との会見が報じられてから、GHQ（連合国軍最高司令官総司令部）宛に「拝啓マッカーサー元帥様」と書き出された手紙が続々と送られてきて、その数はなんと50万通にも達した。手紙の書き手は政治家や医師のようなエリート層から、農民・主婦などの一般大衆、さらには小学生までさまざまだったが、その内容は「世界の主様」「吾等の偉大なる解放者」とマッカーサーを賛美し、日常のこまごまとした不満を書き連ねたものが大半だった。</p>
<p>そのなかには、フィリピン・ルソン島の収容所に戦犯死刑囚として拘留されている夫（マニラ憲兵分隊付の准尉）に、戦地にいるあいだに無事に男児が生まれたことと、「ノリヲ」と名づけたことを、死出の旅路の贈り物として伝えてほしいという胸に迫るものもある。あるいは、日本を平和国家、文化国家に生まれ変わらせるために、ぜひアメリカに渡って勉強させてほしいという13歳の貧しい少女からのけなげな願いもあった。</p>
<p>その一方で、絶対権力であったGHQに憧れ、米軍への入隊を願う手紙や、アメリカのスパイにしてほしいと懇願する寡婦からの手紙もある。</p>
<p>占領中にGⅡ（情報部）の翻訳通訳部隊に所属していたカンサス大学の歴史学教授は、マッカーサーと“ファザー・チャイルド・レリーションシップ”を持ちたいという日本女性からの手紙を何百通も翻訳した。そのなかには、「あなたの子どもを生みたい」とはっきり書いてあるものもたくさんあったという。</p>
<p>こうした敗戦後の庶民の心情を表わすものとして、静岡県のある村から12名の連署で送られてきた手紙を紹介しよう。</p>
<p>マッカーサーへの嘆願書によれば、この村の神社には大きな樹木があり、その枝が農作物の生育に害を及ぼすため、県庁の許可を得て伐採した。ところが村長と氏子総代がその伐採に異議を申し立て、出願書類が不備だからといって、村費によって訴訟を起こすと決議した。</p>
<p>嘆願者たちの主張では、これは村長とその一派が、要職にあることを利用して神社費3400円を詐取したことを隠蔽するための計画であり、それ以外にも種々の犯罪行為が想像され、とうてい村の「文化の建設発展」のためになるとは思えない。そこで彼らは、「実ニ恐ル可キモノナレバ是ヲ機会ニ公職公務ヲ追放セラル、様ウ」と、GHQ総司令官に村の政敵を公職追放してほしいと懇願するのだ。</p>
<p>軍国主義・日本を支えたひとたちは、マッカーサーになにを望んだのだろうか。</p>
<p>東京の製薬会社に勤めていたものの、今は滋賀県に疎開して飛行場の開拓をしているという知識人（早稲田大学専門部政治経済科卒業）は、マッカーサーをこう賛美する。</p>
<p style="padding-left: 30px;">閣下（マッカーサー元帥）の御指導実に神の如くその眼光は実に日本社会の隅々まで徹し全謂（あらゆる）御指導は見事に一々的中し吾々は衷心よりその御指導が人道的であつて且つその御指令が到底日本の政治家共には及ばざる善政であることを感謝致して居るのでございます</p>
<p> 次に彼は、返す刀で日本と日本人を全否定する。</p>
<p style="padding-left: 30px;">今更ら乍ら恥しくも日本国民はあらゆる点に於て到底貴国に遠く及ばざることを沁々（しみじみ）と感じて居ります　日本国民は今になつて始めて貴国の進駐軍を介して貴国の勝れて居ることを知り何故に斯様な偉大なる貴国を相手として無謀な戦争を始めたのかを心から悔い而して貴国に対する尊敬の念を愈々高め、将来に真に信頼して日本の国を託することの出来るのは貴国のみであることを確信し　閣下に対する尊崇の念は日本天皇に対しての尊崇の念の如く形式的ではなく真に心からの敬服、尊崇の念を懐いて居ります</p>
<p> そして彼は、最後に次のように書く。</p>
<p style="padding-left: 30px;">而してその尊敬の念は愈々倍々高まりこのどん底にあえぐ日本を救つて下さるのは真に貴国をおいて他になく日本国民の貴国に対する信頼感は日本国の全べてを貴国に託して閣下の御指導に御縋り申さんとして居ります　日を追うて嵩じ来る貴国に対する信頼感は今日に於ては日本国の全べて（の）ものを貴国に託して貴国の御同情によりて復興するより外にないと感［考］ヘるやうになりました</p>
<p>同様の趣旨のものは、GHQ宛の手紙にいくらでも見つかる。たとえば、軍医少尉の長男がビルマ戦線で行方不明になっているという岡山市の62歳の男性は、終戦のわずか6カ月後に次のように書いている。</p>
<p style="padding-left: 30px;">日本之将来及ビ子孫の為め日本を米国の属国となし被下度御願申上候</p>
<p>敗戦直後の日本人がマッカーサーにあてた膨大な手紙は、私たちがまったく知らない“日本人の自画像”を教えてくれる。</p>
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		<title>日本人はどんな場所にいるのか？　イングルハートの価値マップ</title>
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		<pubDate>Tue, 15 May 2012 21:00:11 +0000</pubDate>
		<dc:creator>tachibana</dc:creator>
				<category><![CDATA[Libertarianism]]></category>
		<category><![CDATA[政治哲学]]></category>

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		<description><![CDATA[『（日本人）』では、日本人の特徴は、（それがもしあるとすれば）「空気（世間）」ではなく「水（世俗）」にある、という議論をしています。 その当否についてはさまざまな意見があると思いますが、ここで議論の前提として、本書のアイ &#8230; <a href="http://www.tachibana-akira.com/2012/05/4292">続きを読む <span class="meta-nav">&#8594;</span></a>]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344021762/aic-22" target="_blank">『（日本人）』</a>では、日本人の特徴は、（それがもしあるとすれば）「空気（世間）」ではなく「水（世俗）」にある、という議論をしています。</p>
<p>その当否についてはさまざまな意見があると思いますが、ここで議論の前提として、本書のアイデアの元となったイングルハートの価値マップを掲載しておきます。</p>
<p>ロナルド・イングルハートはアメリカの政治学者で、国民性による価値観のちがいを客観的に評価すべく、世界各地で大規模なアンケート調査を行なっています（このブログで何度か紹介した世界価値観調査もイングルハートが始めたのもです）。</p>
<p><span style="font-size: small;">＊イングルハートの価値マップのことは、社会学者・橋本努氏の<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062584190/aic-22" target="_blank">『経済倫理＝あなたは、なに主義』</a>で知りました。</span></p>
<p style="text-align: center;"><a href="http://www.tachibana-akira.com/wp/wp-content/uploads/2012/05/0011.jpg" rel="lightbox[4292]"><img class="aligncenter  wp-image-4308" title="001" src="http://www.tachibana-akira.com/wp/wp-content/uploads/2012/05/0011-703x1024.jpg" alt="" width="448" height="652" /></a></p>
<p style="text-align: justify;">この「価値マップ」では、縦軸が「伝統的価値（前近代）」と「世俗－合理的価値（近代）」、横軸が「生存価値（産業社会）」と「自己表現価値（ポスト産業社会）」になっています。</p>
<p>左下が「生きていくだけでせいいっぱいの、掟や慣習でがんじがらめになった閉鎖社会（伽藍）」、右上が、「ひとびとが自由に“自己実現”できる開放社会（バザール）」です。</p>
<p>日本の「ムラ社会性」がよく批判されますが、これを見るとわかるように、世界の大半の国は日本よりもはるかにベタなムラ社会です。日本社会の開放度は、アングロサクソンの国々（アメリカ、カナダ、オーストラリア）やヨーロッパ・プロテスタント圏（スウェーデン、オランダ）よりは劣りますが、フランス、イタリア、スペインなどヨーロッパ・カトリック圏の国々とほぼ同じで全体の上位3分の1あたりに位置します（日本はアジアでもっとも開放的な社会です）。</p>
<p>「ムラ社会性」よりもずっと目立つのは、日本人の「世俗性」の高さです。この価値マップや、世界価値観調査のさまざまなデータが明らかにしたことは、<strong>「日本人は、世界でも突出して世俗的な国民である」</strong>ということです。</p>
<p>イングルハートは、それぞれの国を文化圏でくくってみると、そのなかに別の文化圏の国は入らない、という発見をしました。日本、中国、韓国、台湾は、表のなかの位置はバラついているように見えるものの、「儒教」でくくるとひとつの独立した文化圏になります。プロテスタント、カトリック、アングロサクソン（英語）など他の文化圏についても同じことがいえ、「国民性（価値観）」が経済だけでなく、地理的条件や歴史・文化によって規定されていることを強く示唆します。</p>
<p>なお、日本人の極端な世俗性をいち早く指摘したのは仏教哲学者の中村元で、万葉集から大伴家持の次の句をひいています。</p>
<p style="padding-left: 30px;">この世にし　楽しくあらば　来む世には<br />
虫にも鳥にも　われはなりなむ</p>
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		<title>世の中を幸福にする「不都合な真実」　週刊プレイボーイ連載(49)</title>
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		<pubDate>Sun, 13 May 2012 21:00:33 +0000</pubDate>
		<dc:creator>tachibana</dc:creator>
				<category><![CDATA[Column]]></category>
		<category><![CDATA[そ、そうだったのか!?　真実のニッポン]]></category>
		<category><![CDATA[エッセイ]]></category>
		<category><![CDATA[経済]]></category>
		<category><![CDATA[進化心理学]]></category>

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		<description><![CDATA[世の中には、「不都合な真実」がたくさんあります。「専門家のあいだではほぼ合意が成立しているものの、公にするのがはばかられる主張」のことです。 たとえばBSE（牛海綿状脳症）感染牛の全頭検査は、疫学的にはなんの意味もなく欧 &#8230; <a href="http://www.tachibana-akira.com/2012/05/4214">続きを読む <span class="meta-nav">&#8594;</span></a>]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>世の中には、「不都合な真実」がたくさんあります。「専門家のあいだではほぼ合意が成立しているものの、公にするのがはばかられる主張」のことです。</p>
<p>たとえばBSE（牛海綿状脳症）感染牛の全頭検査は、疫学的にはなんの意味もなく欧米諸国では行なわれていませんが、日本の政府・自治体は「食の絶対安全」を守るとして、10年以上にわたり200億円以上の税金を投入して実施しつづけています。ほぼすべての専門家が「やってもムダ」と指摘している検査をやめられないのは、「いのちを軽視するのか」という感情的な反発を恐れているためです。</p>
<p>経済問題における不都合な真実としては、「解雇を容易にすれば失業率が下がる」が挙げられます。</p>
<p>不況で失業者が増えると、「労働者の生活を守るために社員を解雇できないようにすべきだ」と叫ぶひとが出てきます。しかしこれは、逆に失業を増やし、不況を悪化させ、ひとびとを苦しめている可能性が高いのです。</p>
<p>日本では労働法はひとつしかありませんが、アメリカでは州ごとに解雇規制が異なります。そこでアメリカ各州の解雇規制を比較することで、それが労働市場にどのような影響を与えているのかを調べることができます。</p>
<p>この巧まざる社会実験は、「正社員を解雇できないと派遣労働者が増える」ことを示しています。雇用が手厚く保護されている州の経営者は、業績が悪化したときに解雇しやすい非正規社員しか雇わなくなり、そのため経済格差が拡大するのです。</p>
<p>欧米主要国の労働市場を比較しても、解雇が容易なアメリカやイギリスは雇用率が高く、解雇規制の強いドイツやフランスの雇用率が低くなっていることがわかります。失業問題を改善するには、社員をもっとかんたんにクビにできるようにすべきなのです――テレビや新聞では誰もこんなことはいいませんが。</p>
<p>日本でもようやく臓器移植法が成立しましたが、提供件数がなかなか増えず、アジアの貧しい国で臓器移植手術をする日本人が批判されています。この問題を解決するには、患者が必要とする臓器を国内で提供できるようにするしかありません。</p>
<p>そのためのもっとも簡単で確実な方法が、「オプトアウト」です。</p>
<p>日本では、臓器提供の意思表示を「オプトイン（選択して参加する）」で行なっていて、本人の同意が明らかでないと摘出手術はできません。ヨーロッパではドイツ、イギリス、デンマークなどが同じ「オプトイン」で、臓器提供登録者の割合は20パーセント程度です。</p>
<p>それに対して「オプトアウト」では、なにもしなければ臓器提供に同意したとみなし、参加しない場合だけ意思表示します。この方式はフランス、ベルギー、オーストリアといった国々が採用していて、臓器提供率は100パーセントちかいのです。</p>
<p>「オプトイン」でも「オプトアウト」でも、本人の意思が尊重されるのは同じです。それなのにこれほど結果がちがうのは、どちらとも判断のつかない選択では、ひとは現在の状態（デフォルト）を好むからです。</p>
<p>人間の本性を上手に利用すれば臓器移植の必要な患者が救われる――世の中を幸福にするこの不都合な真実も、日本では公の場で口にされることはほとんどありません。</p>
<p style="text-align: right;"><span style="font-size: small;"> 参考文献：リチャード・セイラー/</span><span style="font-size: small;">キャス・サスティーン</span><a style="font-size: small;" href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822247473/aic-22" target="_blank">『実践行動経済学』</a></p>
<p style="text-align: right;"><span style="font-size: xx-small;"> </span><a style="font-size: xx-small;" href="http://wpb.shueisha.co.jp/" target="_blank">『週刊プレイボーイ』</a><span style="font-size: xx-small;">2012年5月7日発売号<br />
禁・無断転載 </span></p>
<p style="text-align: right;"><span style="line-height: 13px; font-size: xx-small;"><br />
</span></p>
]]></content:encoded>
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		<title>あなたは東洋脳？　それとも西洋脳？</title>
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		<pubDate>Fri, 11 May 2012 21:00:47 +0000</pubDate>
		<dc:creator>tachibana</dc:creator>
				<category><![CDATA[雑記]]></category>
		<category><![CDATA[進化心理学]]></category>

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		<description><![CDATA[『（日本人）』では、すべてのヒトは進化論的に共通のOSを持っているが、そのエートス（行動文法）は歴史や文化、社会構造などによって異なることを論じた。ベースになっているのは近年の社会心理学のさまざまな研究成果だが、ここでは &#8230; <a href="http://www.tachibana-akira.com/2012/05/4244">続きを読む <span class="meta-nav">&#8594;</span></a>]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344021762/aic-22" target="_blank">『（日本人）』</a>では、すべてのヒトは進化論的に共通のOSを持っているが、そのエートス（行動文法）は歴史や文化、社会構造などによって異なることを論じた。ベースになっているのは近年の社会心理学のさまざまな研究成果だが、ここでは東洋人（日本、中国、韓国）と西洋人（アメリカ、カナダなど）の世界把握のちがいを調べるかんたんなテストを紹介しよう。</p>
<p>以下の図は、いずれもアメリカの社会心理学者リチャード・Ｅ・ニスベット<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478910189/aic-22" target="_blank">『木を見る西洋人　森を見る東洋人』</a>からの引用だ。この本でニスベットは、「東洋」と「西洋」のちがいについての膨大な研究を紹介している。</p>
<div id="attachment_4299" class="wp-caption aligncenter" style="width: 390px"><a href="http://www.tachibana-akira.com/wp/wp-content/uploads/2012/05/00011.jpg" rel="lightbox[4244]"><img class=" wp-image-4299  " title="0001" src="http://www.tachibana-akira.com/wp/wp-content/uploads/2012/05/00011.jpg" alt="" width="380" height="347" /></a><p class="wp-caption-text">牛の仲間はどっち？</p></div>
<p>まず、上図を見ていただきたい。牛とのペアをつくるなら、ＡとＢのどちらを選ぶだろうか。</p>
<p>この質問をニスベットがアメリカと中国の子どもたちにしたところ、アメリカ人の子どもが牛とニワトリの組み合わせを選んだのに対し、中国人の子どもは牛と草をペアにすることが多かった。</p>
<p>牛とニワトリを組み合わせるのは、ともに分類学上の動物だからだ。牛と草の組み合わせは、牛は草を食べるのに対し、ニワトリは食べないからだ。すなわちここでは、「分類」よりも両者の「関係」が重視されている。</p>
<p>ところで読者のなかには、西洋人と同じく、牛とニワトリの組み合わせを選んだひともいるだろう（じつは私もそうだった）。</p>
<p>もっとも事務所のアルバイト（大学生）に訊いたところ、2人とも牛と草の組み合わせを選んだので、このテストはいまでも有効なようだ（世代が進むにつれて“西洋化”するわけではないらしい）。</p>
<p>では、次のテスト。こちらはもっと明確に東洋と西洋のちがいがわかるはずだ。</p>
<div id="attachment_4300" class="wp-caption aligncenter" style="width: 317px"><a href="http://www.tachibana-akira.com/wp/wp-content/uploads/2012/05/0002.jpg" rel="lightbox[4244]"><img class=" wp-image-4300  " title="0002" src="http://www.tachibana-akira.com/wp/wp-content/uploads/2012/05/0002-689x1024.jpg" alt="" width="307" height="457" /></a><p class="wp-caption-text">ターゲットに似ているのはどっちのグループ？</p></div>
<p>ニスベットたちの研究チームは、上のようなイラストを、韓国人、ヨーロッパ系アメリカ人、アジア系アメリカ人の実験参加者に見せ、ターゲット（下のイラスト）がどちらのグループに近いかを訊いた。</p>
<p>韓国人のほとんどは、ターゲットがグループ1に近いとこたえた（私もそう思った）。それに対してヨーロッパ系アメリカ人のほとんどは、グループ2を選んだ。アジア系アメリカ人は、その中間だった。</p>
<p>グループ1は、ターゲットと「家族的類似性」を持つように描かれている。ターゲットになんとなく似ているが、すべてのイラストに共通する規則があるわけではない。</p>
<p>グループ2は、ターゲットに似ていないものもあるが、ひとつだけはっきりとした規則を持つように描かれている。すなわち、「真っ直ぐな茎」を持っているのだ。</p>
<p>ニスベットは、その他の実験においても、西洋人がこのような「分類学的規則」を素早く見つける傾向があることを明らかにした。それに対して東洋人は、規則を適用してものごとをカテゴリーに分類することが苦手で、そのかわり部分と全体の関係や意味の共通性に関心を持った。</p>
<p>カテゴリーは、名詞によって表わされる。ひとやものとの関係は、動詞によって明示的、あるいは暗黙のうちに示される。そう考えれば、西洋人は世界を「名詞」で考え、東洋人は「動詞」で把握しようとしているともいえる。</p>
<p>こうした実験が明らかにしたのは、西洋人の認知構造が世界をもの（個）へと分類していくのに対し、東洋人は世界をさまざまな出来事の関係として把握するということだ。この世界認識のちがいが、西洋人が「個人」や「論理」を重視し、東洋人が「集団」や「人間関係」を気にする理由になっている。</p>
<p>ところで、ここで誰もが疑問に思うのが、こうしたちがいは生得的（遺伝的）なのか、ということだろう。これに対するニスベットのこたえは明快だ。</p>
<p>アジア系アメリカ人（アメリカで生まれ育ったアジア系のひとびと）は、大半の調査で東洋と西洋の中間であることが多く、一部の調査ではヨーロッパ系アメリカ人とほとんど同じ回答をする。日本人はとくに影響を受けやすく、ある研究では、アメリカに2～3年住んだだけで、日本人の考え方は純粋なアメリカ人とほとんど区別がつかなくなってしまった。</p>
<p>西洋人と東洋人は明らかにちがうが、そのちがいは文化的なものなのだ。</p>
]]></content:encoded>
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		<title>「日本人」をカッコに入れる</title>
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		<pubDate>Wed, 09 May 2012 21:00:57 +0000</pubDate>
		<dc:creator>tachibana</dc:creator>
				<category><![CDATA[雑記]]></category>

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		<description><![CDATA[新刊『（日本人）』のなかから、冒頭部分を掲載します。 ********************************************************************* 『（日本人）』は「かっこに &#8230; <a href="http://www.tachibana-akira.com/2012/05/4242">続きを読む <span class="meta-nav">&#8594;</span></a>]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>新刊<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344021762/aic-22" target="_blank">『（日本人）』</a>のなかから、冒頭部分を掲載します。</p>
<p>*********************************************************************</p>
<p>『（日本人）』は「かっこにっぽんじん」と読む。文字どおり、「日本人」をカッコに入れてみようという意味だ。</p>
<p>私たちのまわりには、「日本」と「日本人」があふれている。過剰な「日本」に溺れて、私たちは自分が何者で、世界がどんなところなのかを見失ってしまったのではないだろうか。</p>
<p>3.11東日本大震災と福島第一原発事故のあと、マスメディアやインターネット上でさまざまなひとたちが「日本」や「日本人」について論じた。その論旨は、おおよそ次の一行で要約できる。</p>
<p><strong>日本の被災者は世界を感動させ、日本の政治は国民を絶望させた。</strong></p>
<p>ここには二種類の、まったく異なる日本人がいる。</p>
<p>津波で肉親を失い、原発事故で故郷を奪われても絆を失わず、お互いに支え合いいたわり合ううつくしい日本人。その一方で責任を逃れ、利権をあさり、権力にしがみつく醜い日本人。そして誰もがうつくしい日本人の側に立ち、醜い日本人を糾弾する。</p>
<p>だがこのわかりやすすぎる構図は、なんの問題も解決しない。私たちはこれまで何十年も同じ議論を繰り返してきて、あげくの果てが現在なのだ。</p>
<p>本書のアイデアはものすごく単純だ。</p>
<p>私たちは日本人である以前に人間（ヒト）である。人種や国籍にかかわらず、ヒトには共通の本性がある。だとしたら「日本人性」とは、私たちから人間の本性を差し引いた後に残ったなにものかのことだ。</p>
<p>私たちは、自分自身を他人の目で見ることはできない。「日本人は特別だ」という思い込みだけがあって、どのように特別なのか、その客観的な評価をほとんど意識したことがない。</p>
<p>「世界価値観調査」は、世界80ヵ国以上のひとびとを対象に、政治や宗教、仕事、教育、家族観などを調べたもので、1980年代から定期的に行なわれている。国民性についての現時点でもっとも網羅的な調査だが、2005年調査の全82問のなかで、日本人が他の国々と比べて大きく異なっている項目が3つある。</p>
<p>これを見ると日本人は明らかに「特別」だが、それは私たちのイメージとはずいぶんちがう。</p>
<p>最初に、その質問とアンケート結果を紹介しよう。</p>
<p>問：もう二度と戦争はあって欲しくないというのがわれわれすべての願いですが、もし仮にそういう事態になったら、あなたは進んでわが国のために戦いますか。</p>
<p>この質問に「はい」とこたえたひとの比率だ。</p>
<div id="attachment_4283" class="wp-caption aligncenter" style="width: 446px"><a href="http://www.tachibana-akira.com/wp/wp-content/uploads/2012/05/01.jpg" rel="lightbox[4242]"><img class=" wp-image-4283" title="01" src="http://www.tachibana-akira.com/wp/wp-content/uploads/2012/05/01.jpg" alt="" width="436" height="505" /></a><p class="wp-caption-text">あなたは進んで国のために戦いますか？</p></div>
<p style="text-align: justify; padding-left: 30px;"><em>問：あなたは日本人（ここにそれぞれの国名が入る）であることにどのくらい誇りを感じますか。</em></p>
<p>この質問に、「非常に感じる」「かなり感じる」とこたえたひとの比率だ。</p>
<div id="attachment_4286" class="wp-caption aligncenter" style="width: 436px"><a href="http://www.tachibana-akira.com/wp/wp-content/uploads/2012/05/021.jpg" rel="lightbox[4242]"><img class=" wp-image-4286 " title="02" src="http://www.tachibana-akira.com/wp/wp-content/uploads/2012/05/021.jpg" alt="" width="426" height="482" /></a><p class="wp-caption-text">あなたは日本人であることに誇りを感じますか？</p></div>
<p>香港は国ではなく中国の特別行政区なのだから、こちらの値も実質的に日本が世界でもっとも低い。日本人は戦争が起きても国のためにたたかう気もないし、自分の国に誇りも持っていないのだ。</p>
<p>あなたはこの結果についてどう感じるだろうか？　保守派なら、「自虐史観」で日本人を洗脳した戦後民主教育の大罪だと騒ぎ立てるだろう。リベラル派なら、「平和憲法」によって日本人がいかなる戦争も拒否するようになったのだから、戦後民主主義の偉大なる成果だというかもしれない。</p>
<p>いずれが正しいかは別として、日本と並んでドイツの値が低いことから、この結果に第二次世界大戦の敗戦体験が強く影響していることは明らかだ。</p>
<p>だが、次の結果はさらに衝撃的だ。</p>
<p style="padding-left: 30px;"><em>問：ここに近い将来起こると思われるいろいろな生活様式の変化があげてあります。もし、そういうことが起こった場合、あなたはどう思われますか。<br />
</em><em>よい（好ましい）ことだと思いますか、悪い（好ましくない）ことだと思いますか、それともそういうことが起こっても気にしませんか。それぞれについてお答えください。</em></p>
<p>この質問のうち、「権威や権力がより尊重される」について、「良いこと」と回答したひとの比率だ。</p>
<div id="attachment_4287" class="wp-caption aligncenter" style="width: 422px"><a href="http://www.tachibana-akira.com/wp/wp-content/uploads/2012/05/03.jpg" rel="lightbox[4242]"><img class=" wp-image-4287 " title="03" src="http://www.tachibana-akira.com/wp/wp-content/uploads/2012/05/03.jpg" alt="" width="412" height="465" /></a><p class="wp-caption-text">権威や権力は尊重されるべきですか？</p></div>
<p>集計結果を見ればわかるように、先進諸国だけを見ても、フランス人の84.9％、イギリス人の76.1％が、健全な社会では権威や権力は尊重されるべきだと考えている。マリファナや安楽死を容認するオランダで70.9％、自助・自立を旨とするアメリカでも59.2％が権威や権力は必要だと回答し、権威的な体制への批判が噴出する中国ですら43.4％が権力は好ましいものだと考えている。</p>
<p>それに対して日本人のうち、「権威や権力を尊重するのは良いこと」と答えたのはわずか3.2％しかおらず、逆に80.3％が「悪いこと」と回答している。日本人は世界のなかでダントツに権威や権力が嫌いな国民だったのだ。</p>
<p>私たちがこのような特異な価値観を持つようになったのには、やはり戦争体験の影響があるだろう。権威や権力を振りかざす政治家や軍人を信じたら、広島と長崎に原爆を落とされ、日本じゅうが焼け野原になり、民間人を含め300万人もが犠牲になったのだから、もうこりごりだと思っても不思議はない。</p>
<p>しかしそれでも謎は残る。敗戦によって同じような惨状を体験したドイツでも、半分（49.8％）のひとが「権威や権力は尊重すべき」とこたえている。日本人の“反権力（というか厭権力）”はあまりにも極端なのだ。</p>
<p>本書はこの“謎”を出発点に、私たちは何者で、どのような社会に生きているのかを解明していく。そこでは、進化心理学の知見が私たちの旅を助けてくれるだろう。</p>
<p>グローバル化した世界では、政治や行政にできることはじつはそれほど多くない。それにもかかわらず、私たちはあまりにも多くの期待や要求を「国家」に寄せている。それと同時に、個人の持つ複数のアイデンティティのなかで、「国民」を過大に意識しすぎている。</p>
<p>日本人をカッコに入れるいちばんの効用は、「国家」や「国民」という既成の枠組みから離れることで、世の中で起きているさまざまな出来事をシンプルに理解できるようになることだ。私たちのほとんどは日本で生まれ、この島国に育ち、ここで死んでいくだろうが、それでも個人の人生と国家の運命は一蓮托生ではない。</p>
<p>国家の権威が大きく揺らいでいるいまこそ、私たち一人ひとりが、自立した自由な個人として、正義や幸福や社会について考えてみるべきなのだ。</p>
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		</item>
		<item>
		<title>日本人を好きだけど嫌いなあなたへ　『（日本人）』発売のお知らせ</title>
		<link>http://www.tachibana-akira.com/2012/05/4240</link>
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		<pubDate>Wed, 09 May 2012 08:00:12 +0000</pubDate>
		<dc:creator>tachibana</dc:creator>
				<category><![CDATA[お知らせ]]></category>

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		<description><![CDATA[みなさまへ 幻冬舎から、『（日本人）』が12日に発売されます。「かっこにっぽんじん」と読んで、「“日本人”をいちどカッコに入れてみよう」という意味を込めました。 都内の一部書店では、すでに店頭に並んでいるようです。Ama &#8230; <a href="http://www.tachibana-akira.com/2012/05/4240">続きを読む <span class="meta-nav">&#8594;</span></a>]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>みなさまへ</p>
<p>幻冬舎から、『（日本人）』が12日に発売されます。「かっこにっぽんじん」と読んで、「“日本人”をいちどカッコに入れてみよう」という意味を込めました。</p>
<p>都内の一部書店では、すでに店頭に並んでいるようです。Amazonでも<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344021762/aic-22" target="_blank">予約注文</a>が可能になりました。</p>
<p>私たちはごく自然に、「日本人は」とか、「日本社会は」などといいますが、こうした語り方の背後には、「日本（人）は特別だ」という暗黙の了解があります。論者によって、「日本はスゴい」というひともいれば、「だから日本はダメなんだ」というひともいますが、「世界のなかで特別な私たち」という意識は同じです。</p>
<p>この本では、こうした“日本特殊論”からすこし距離を置いて、「私たちはいったいどんな場所にいるのか？」を考えてみました。それは、「私はいったい誰なのか」という問いでもあります。</p>
<p>これまで日本は、「空気」の支配する社会だとされてきました。しかしここでは、「空気」ではなく「水」から、日本社会を分析しています（「水」がいったいなんであるかは、本書をお読みください）。</p>
<p>私たちはみな、日本（人）が好きで、同時に、日本（人）を憎んでいます。この本を書き得たたことで、私たちの抱えるそんな暗いどうしようもなさの謎を、いくばくかでも解くことができたのではないかと考えています。</p>
<p>私たちは、〈夢〉を語ることが困難な時代を生きています。しかしそれでも、私たちは〈夢〉を見ずにはいられません。</p>
<p>一人でも多くのみなさまに、手にとっていただければ幸いです。</p>
<p style="text-align: right;">橘　玲</p>
]]></content:encoded>
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		<title>第14回　放置自転車　ハッピーな解決法（橘玲の世界は損得勘定）</title>
		<link>http://www.tachibana-akira.com/2012/05/4186</link>
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		<pubDate>Sun, 06 May 2012 21:00:49 +0000</pubDate>
		<dc:creator>tachibana</dc:creator>
				<category><![CDATA[Column]]></category>
		<category><![CDATA[橘玲の世界は損得勘定]]></category>
		<category><![CDATA[エッセイ]]></category>
		<category><![CDATA[経済]]></category>

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		<description><![CDATA[放置自転車はどこでも頭の痛い問題だ。駅前を管理する自治体だけでなく、商店街やビルのオーナーも同じで、なかなか有効な対策がない。 仕事場を借りているビルの1階店舗が閉店したら、たちまち自転車の放置が始まった。みんな自転車を &#8230; <a href="http://www.tachibana-akira.com/2012/05/4186">続きを読む <span class="meta-nav">&#8594;</span></a>]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>放置自転車はどこでも頭の痛い問題だ。駅前を管理する自治体だけでなく、商店街やビルのオーナーも同じで、なかなか有効な対策がない。</p>
<p>仕事場を借りているビルの1階店舗が閉店したら、たちまち自転車の放置が始まった。みんな自転車を置ける便利な場所を探していて、誰かが最初に放置すると、なんの罪悪感もなくそれにならうのだ。そんなわけで、ビルの前はたちまち自転車で埋まってしまった。</p>
<p>翌朝、ビルのオーナーが仁王立ちになって、自転車をとめようとするひとたちを怒鳴りつけていた。70歳はとうに超えていると思うのだが、これでは健康にもよくないだろう。</p>
<p>夕方には業者が呼ばれ、店舗前がロープで囲われた。しかしそれでも、わずかなスペースを見つけて自転車を放置する不届き者がいる。オーナーはその自転車を引きずり出しては、歩道の脇に積み上げている。ますます健康に悪そうだ。</p>
<p>放置自転車は都会のウイルスみたいなもので、どんな場所にも侵入し増殖していく。たった一人で対抗しても、制圧できるわけはないのだ。</p>
<p>むなしいたたかいを数週間つづけたあげく、オーナーは一計を案じて（あるいは営業マンに教えられて）、ビルの前に有料の自転車置き場を設置した。コインパーキングと同じ仕組みで、100円で10時間、自転車をとめておくことができる。</p>
<p>こんな方法でうまくいくのかと見ていたら、驚いたことに、“コイン自転車パーキング”はいつも満杯の大盛況だ。</p>
<p>私はずいぶん前に徒歩生活に切り替えたので自転車ユーザーではないのだが、これを見ると、彼らがじつは自転車の放置にかなりのストレスを感じていたことがわかる。</p>
<p>最近では放置自転車の監視もきびしく、見つかれば怒られるし、撤去されたら取り戻すのも面倒だ。しかし自治体の駐輪場は抽選で、スーパーの駐輪場には行列ができているから、「まあいいや」と放置してしまうのだろう。100円で安心して駐輪できるなら安いものなのだ。</p>
<p>それに、10時間で100円という料金設定も絶妙だ。自転車をとめて会社に行き、8時間働いて戻ってくればぴったりだ。残業のときは追加料金を払わなければならないが、「ついてないや」とあきらめられるだろう。</p>
<p>もちろんコイン自転車パーキングにも、わずかな隙間に自転車を押し込む輩はいる。しかしこれは、そうとうに勇気のいる行為だ。</p>
<p>ほかのひとたちはみんな、100円を払って自転車をとめている。ズルをしているところを見つけたら、注意はしないまでも不愉快に思うにちがいない。以前はオーナーが一人で怒鳴っていたが、その監視をこんどはみんながやってくれるのだ。</p>
<p>自転車の放置は悪気がないから、いくら道徳や倫理を説いても解決しない。撤去にかかる手間や費用を考えると、歩道などの共有スペースもコインパーキング化すればみんながハッピーになれると思うのだが、どうだろうか。</p>
<p style="text-align: right;"><span style="font-size: xx-small;">橘玲の世界は損得勘定　Vol.15：<a href="http://veritas.nikkei.co.jp/index.aspx">『日経ヴェリタス』</a>2012年4月22日号掲載</span><br />
<span style="font-size: xx-small;">禁・無断転載</span></p>
]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>毎月分配型投信の不都合な真実</title>
		<link>http://www.tachibana-akira.com/2012/05/4247</link>
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		<pubDate>Wed, 02 May 2012 21:00:35 +0000</pubDate>
		<dc:creator>tachibana</dc:creator>
				<category><![CDATA[Life Planning]]></category>
		<category><![CDATA[投資]]></category>

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		<description><![CDATA[『日経ヴェリタス』4月29日号の特集「静かなる投信革命」のなかに、「毎月分配型からマネー流出」（山下茂行、松本裕子記者）というインパクトのある記事が掲載されている。とりわけ衝撃的なのは、毎月分配型投信の元本払い戻し度合い &#8230; <a href="http://www.tachibana-akira.com/2012/05/4247">続きを読む <span class="meta-nav">&#8594;</span></a>]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>『日経ヴェリタス』4月29日号の特集「静かなる投信革命」のなかに、「毎月分配型からマネー流出」（山下茂行、松本裕子記者）というインパクトのある記事が掲載されている。とりわけ衝撃的なのは、毎月分配型投信の元本払い戻し度合いを一覧にした表だ。</p>
<p>これは日本の投信業界の歪んだ構造を象徴するものなので、そのまま紹介したい。</p>
<p style="text-align: center;"><a href="http://www.tachibana-akira.com/wp/wp-content/uploads/2012/05/0001.jpg" rel="lightbox[4247]"><img class="aligncenter  wp-image-4248" title="0001" src="http://www.tachibana-akira.com/wp/wp-content/uploads/2012/05/0001.jpg" alt="" width="805" height="630" /></a></p>
<p style="text-align: justify;">この表の見方は簡単で、たとえば人気ナンバーワンのグローバルソブリンは、この1年間の運用成績が0.8％で、投資家に年7.8％の分配金を支払っている。ということは、足りない7％分は元本を取り崩していることになる。ようはタコ足配当だ。</p>
<p style="text-align: justify;">これを見ると、驚くべきことに、31本の毎月分配型投信のなかで、運用成績の範囲で分配を行なっている（元本を取り崩していない）投信はわずか１本しかない（「ダイワ日本国債ファンド」で分配率2.3％）。残りはすべてタコ足配当で、そのうち6本にいたっては、運用成績がマイナスなのに分配金を支払っている</p>
<p style="text-align: justify;">そのなかでも「日興アッシュモア新興国3分法毎月・レアル」（日興アセットマネジメント）は、運用成績がマイナス8.8％なのに投資家に21.4％の分配を行なった結果、なんと元本の3分の1（30.3％）を払い戻すことになった。</p>
<p style="text-align: justify;">また「グローバル・ハイ・イールド　資源国」（野村アセットマネジメント）、「新興国債券ファンド通貨選択　レアル」（三菱UFJ投信）、「米国ハイ・イールド　レアルコース」（野村アセットマネジメント）、「ピクテ新興国インカム株式ファンド」（ピクテ投信投資顧問）、「アジア・オセアニア高配当成長株オープン」（岡三アセットマネジメント）も、元本の2割前後を1年間で払い戻している。</p>
<p style="text-align: justify;">投資家の資産を誠実に運用する職業倫理を負っているはずの運用会社は、こんな「運用」にいったいどんな意味があるのか、ちゃんと説明すべきだ（説明できるものなら）。</p>
<p style="text-align: justify;">記事に書かれているように、投信会社は元本取り崩し分に「特別分配金」という紛らわしい名称をつけて、多くの投資家が「ボーナスのようなもの」と誤解していた。それを金融庁に指摘されて、これからは「元本払戻金（特別分配金）」と表記するらしい。</p>
<p style="text-align: justify;">もちろんこうした指導にも多少の効果はあるかもしれないが、金融庁には、そもそもこのような投信の存在が許されていいのか、ぜひ真剣に検討してほしい。</p>
<p style="text-align: justify;">いくらなんでもヒドすぎる。</p>
]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>ダイエットに成功すると仕事に失敗する？　週刊プレイボーイ連載(48)</title>
		<link>http://www.tachibana-akira.com/2012/05/4183</link>
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		<pubDate>Mon, 30 Apr 2012 21:00:16 +0000</pubDate>
		<dc:creator>tachibana</dc:creator>
				<category><![CDATA[Column]]></category>
		<category><![CDATA[そ、そうだったのか!?　真実のニッポン]]></category>
		<category><![CDATA[エッセイ]]></category>
		<category><![CDATA[進化心理学]]></category>

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		<description><![CDATA[「クッキーとダイコン」というちょっと意地悪な実験があります。 同じ部屋に、焼かれたばかりのおいしそうなチョコチップクッキーの皿と、千切りにしたダイコンの皿が置いてあります。「味覚の記憶についての研究」に協力を申し出た大学 &#8230; <a href="http://www.tachibana-akira.com/2012/05/4183">続きを読む <span class="meta-nav">&#8594;</span></a>]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>「クッキーとダイコン」というちょっと意地悪な実験があります。</p>
<p>同じ部屋に、焼かれたばかりのおいしそうなチョコチップクッキーの皿と、千切りにしたダイコンの皿が置いてあります。「味覚の記憶についての研究」に協力を申し出た大学生を二つのグループに分け、半数はクッキーを、残りの半数にはダイコンを食べるよう指示します。</p>
<p>クッキーはすごくいい匂いがしているのに、貧乏くじをひいた学生は、それを横目で見ながら不味いダイコンをかじらなければなりません。研究者はわざと部屋から出ていき、その気になればつまみ食いもできるのですが、「研究のため」といわれているのでガマンせざるを得ないのです。</p>
<p>次にこの大学生たちに、一筆書きで複雑な図形を描くというパズルをしてもらいます。このパズルはどうやっても解けないのですが、学生たちはそんなことは知らないので、あれこれ試行錯誤しながら必死に取り組みます。</p>
<p>じつはこの実験は、クッキーを食べた学生と、ダイコンで我慢した学生とで、集中力にどのようなちがいがあるかを調べるものでした。</p>
<p>その結果は、驚くべきものでした。</p>
<p>クッキーを食べた学生は、平均してパズルに19分を費やし、34回の試行錯誤を繰り返しました。それに対してダイコンを食べた学生は、わずか8分であきらめてしまい、試行錯誤の回数も19回でした。クッキー組に対して、ダイコン組は半分しか集中がつづかなかったのです。</p>
<p>なぜこんな不思議なことが起きるのでしょう。それは、自己コントロールが消耗資源だからです。</p>
<p>ダイコン組の学生は、「クッキーを食べたい」という欲望を意志のちからで抑制しなければなりませんでした。それによって「自己コントロール力」を使い果たし、パズルに集中できなかったのです。</p>
<p>ダイエットや禁煙が困難なことはよく知られていますが、この実験結果はより深刻な問題を提起します。超人的な意志力でダイエット（禁煙）に成功しても、そのために自己コントロール力を失って、ほかのことがちゃんとできないかもしれないのです。</p>
<p>身だしなみにすごく気をつかう“デキる男（女）”が、いざとなるとぜんぜん使えない、ということはよくあります。その反対に、ふだんはだらしないのに、仕事や勉強に異常な集中力を見せるひともいます。これも、自己コントロールという有限な資源をどう分配しているか、ということから説明できるかもしれません。</p>
<p>「クッキーとダイコン」の実験は、無意識を意識的に制御することがいかに難しいかを明らかにしました。努力だけではひとは変われないのです。</p>
<p>だったらどうすればいいのでしょうか。</p>
<p>もっとも簡単で確実なのは、環境を変えることです。</p>
<p>ホリエモンは、収監されて１年たたないうちに20キロ以上の減量に成功したといいます。ダイエットのために刑務所に入るひとはいないでしょうが、無理な自己コントロールをつづけるより、外部コントロールを利用したほうがずっと効果が高いのは間違いありません。</p>
<p style="text-align: right;"><span style="font-size: x-small;">参考文献：<span style="line-height: 24px;">チップ・ハース・ダン・ハース<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152091509/aic-22" target="_blank">『</a></span><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152091509/aic-22" target="_blank">スイッチ！』</a></span></p>
<p style="text-align: right;"><span style="font-size: xx-small;"> <a href="http://wpb.shueisha.co.jp/" target="_blank">『週刊プレイボーイ』</a>2012年4月23日発売号</span><br />
<span style="font-size: xx-small;">禁・無断転載</span></p>
]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>高校生のセックス相関図から幸福と不幸を考える</title>
		<link>http://www.tachibana-akira.com/2012/04/4181</link>
		<comments>http://www.tachibana-akira.com/2012/04/4181#comments</comments>
		<pubDate>Wed, 25 Apr 2012 21:00:41 +0000</pubDate>
		<dc:creator>tachibana</dc:creator>
				<category><![CDATA[Column]]></category>
		<category><![CDATA[書評]]></category>
		<category><![CDATA[進化心理学]]></category>

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		<description><![CDATA[「 “モテキ”はなぜやってくるのか？」で“つながり”について書いたが、私たちはいったいどのようにつながっているのだろうか？　ここでは、それを可視化してみよう。 以下の3枚の図版は、いずれもニコラス・A・クリスタキス/ジェ &#8230; <a href="http://www.tachibana-akira.com/2012/04/4181">続きを読む <span class="meta-nav">&#8594;</span></a>]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://www.tachibana-akira.com/2012/04/4175" target="_blank">「 “モテキ”はなぜやってくるのか？」</a>で“つながり”について書いたが、私たちはいったいどのようにつながっているのだろうか？　ここでは、それを可視化してみよう。</p>
<p>以下の3枚の図版は、いずれもニコラス・A・クリスタキス/ジェイムズ・H・ファウラー<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/406214770X/aic-22" target="_blank">『つながり　社会的ネットワークの驚くべき力』</a>に掲載されているものだ。</p>
<p>1枚目は、白人生徒が大半を占めるアメリカ中西部の中規模高校（仮名で「ジェファーソン高校」）のセックス相関図だ。</p>
<p style="text-align: center;"><a href="http://www.tachibana-akira.com/wp/wp-content/uploads/2012/04/00011.jpg" rel="lightbox[4181]"><img class="aligncenter  wp-image-4224" title="0001" src="http://www.tachibana-akira.com/wp/wp-content/uploads/2012/04/00011.jpg" alt="" width="454" height="288" /></a></p>
<p>色の濃い点が男子、色の薄い点が女子で、複数の異性とつき合っている場合は2方向（もしくは3～4方向）に枝が伸びている。</p>
<p>これを見るとわかるように、枝の末端にいる生徒を除けば、すべての生徒が複数の異性と性関係を持っている。でもこれは、「アメリカの高校は風紀が乱れている」ということではない。</p>
<p>そもそもなぜ、社会学者がこのようなセックス相関図を描くことができたのだろうか？　それはこの高校で、性感染症（梅毒）が広まったからだ。</p>
<p>さらなる感染を防ぐために、患者たちは聞き取り調査によって、病気を移した（移された）可能性のあるセックスフレンドを申告するよう求められた。こうしてできたのが、このセックス相関図だ。</p>
<p>1対1で異性とつき合っている高校生は病気に感染していないので、この相関図には現われない。だからこれは、自分もしくは相手（あるいはその両方）が二股以上をかけている、性に対して積極的な高校生の相関図ということになる。</p>
<p>この相関図を見ればわかるように、生徒たちのつながり（社会的ネットワーク）は本線（幹）と支線（枝）にわかれている。それぞれの枝の部分が、学校における友だちグループだ。</p>
<p>ここから、きわめて単純な規則性を見出すことができる。</p>
<p>ひとつは、「異なる友だちグループ同士は交わらない」ということ。</p>
<p>もうひとつは、「友だちグループのなかで、他の友だちグループと交渉を持つのは一人だけ」ということ。</p>
<p>この特権的なメンバーは通常はグループのリーダーで、彼（彼女）がグループ外の異性とも性関係を持つことで、グループ間で性病が広がっていく。</p>
<p>こうした構造は、不良グループ（「暴走族」や「チーマー」はもう死語ですか？）を考えるとわかりやすい。</p>
<p>グループの末端メンバーは、敵対するグループと出会えばケンカをするだけだ（交わることはない）。グループの垣根を越えて、他のグループのリーダーたちと話ができるのは、ただ一人のリーダーに限定されている（“組長会議”に出られるのが、リーダーの権力の源泉だ）。</p>
<p>ただしジェファーソン高校の相関図を見ると、大きなグループ同士がダイレクトにつながっているわけではないことがわかる。学校集団のなかには、有力な友だちグループには属さず、人気のある（グループのリーダーの）男子や女子とつき合う生徒がいる。トリックスター的な行動をとる彼（彼女）が媒介となることによって、グループ同士がゆるやかな輪を構成するのだ。</p>
<p>これは、学校における噂（情報）の伝わり方を可視化したものでもある。</p>
<p>本線（幹）の部分に位置するＡやＸの生徒には、さまざまなグループの情報が、いろいろなルートから真っ先に入ってくる。それに対して枝の末端部分に位置するＢの生徒は、ネットワークへのアクセス権を持つリーダーから教えられないかぎり、重要な情報を知ることができない。</p>
<p>このように、学校ネットワークの本線にいるのか支線にいるのかで、彼（彼女）の学校生活は大きく変わってくるだろう（自らはグループのリーダーにならなくても、リーダーとつき合うことによって、集団のなかで有利な位置を占めることができる）。</p>
<p>ところでこの法則は、たんに高校生の集団だけに当てはまるのだろうか。</p>
<p>そこで、2枚目の相関図を見てみよう。ジェファーソン高校によく似ているが、これはボストンの西にあるフレーミングハムという小さな町の家族と友人のネットワーク図だ。</p>
<p>この町の病院（フレーミングハム心臓研究所）は、1948年から疫学調査の一環として<span style="line-height: 24px;">2年に1回の健康調査を行なっており</span>、全成人の3分の2が参加している（町を離れたひとにも連絡をとり、検査を受けてもらっていた）。</p>
<p>『つながり』の著者たちは、この手書きの膨大なデータから5124人の主要グループに焦点を合わせ、5万を越えるつながりを描き出した。それが、この関係図だ。</p>
<p style="text-align: center;"><a href="http://www.tachibana-akira.com/wp/wp-content/uploads/2012/04/00021.jpg" rel="lightbox[4181]"><img class="aligncenter  wp-image-4225" title="0002" src="http://www.tachibana-akira.com/wp/wp-content/uploads/2012/04/00021.jpg" alt="" width="285" height="418" /></a></p>
<p style="text-align: justify;">すぐにわかるように、アメリカのごく平凡な町の社会ネットワークも、本線（幹）と支線（枝）からできており、異なるグループ同士は交わらない。だがこの調査で興味深いのは、住人の幸福度を調べていることだ。</p>
<p style="text-align: justify;">質問に対して「自分は幸福だ」とこたえたひとは黄色、「自分は不幸だ」とこたえたひとは青色で、「どちらでもない」とこたえたひとは緑色だ。</p>
<p style="text-align: justify;">幸福度のちがいをネットワーク化してみると、ふたつのことがわかる。</p>
<p style="text-align: justify;">ひとつは、幸福なひとと不幸なひとは似たもの同士でグループ化する傾向がある、ということだ（幸福なひとは幸福なひととつき合い、不幸なひとは不幸なひととつき合う）。もちろんこれだけでは因果関係はわからないが、「幸福なひととつき合っていると自分も幸福になり、不幸なひとのそばいにると自分も不幸になる」ということかもしれない。</p>
<p style="text-align: justify;">もうひとつは、幸福なひとは本線（幹）の部分の多く、不幸なひとは支線（枝）の末端部に集まる傾向がある、ということだ。ひとは社会ネットワークから切断されていると、自分を「不幸」と感じるのだ。</p>
<p style="text-align: justify;">もうひとつ、同じフレーミングハム心臓研究所のデータから、喫煙者と非喫煙者のネットワークを見てみよう。</p>
<p style="text-align: center;"><a href="http://www.tachibana-akira.com/wp/wp-content/uploads/2012/04/00031.jpg" rel="lightbox[4181]"><img class="aligncenter  wp-image-4226" title="0003" src="http://www.tachibana-akira.com/wp/wp-content/uploads/2012/04/00031.jpg" alt="" width="367" height="442" /></a></p>
<p style="text-align: justify;">ちょっとわかりくいかもしれなが、黄色が喫煙者で球の大きさがタバコの消費量を示す（大きな黄色の球がヘビースモーカーだ）。非喫煙者は緑色で示されている（拡大図参照）。</p>
<p style="text-align: justify;">この関係図からも、やはりネットワークが本線（幹）と支線（枝）でできていることがわかる。本線を形成しているか、あるいは本線と直接つながる大きなグループを構成しているのは、その大半が非喫煙者だ。</p>
<p style="text-align: justify;">それに対して喫煙者は、次のふたつの特徴を持っている。</p>
<p style="text-align: justify;">ひとつは、喫煙者は喫煙者同士で固まる傾向があること。もうひとつは、ヘビースモーカーであるほど、枝の末端に位置すること。</p>
<p style="text-align: justify;">アメリカ（東海岸）では、喫煙はある種のスティグマになっていて、タバコを吸っていると社会ネットワークから排除されてしまうのだ（あるいは、社会的に孤立したひとが喫煙をする）。</p>
<p style="text-align: justify;">このようにネットワークを可視化してみると、これまで漠然と感じていた人間集団の“つながり”の秘密がはっきりと見えてくる。</p>
<p style="text-align: justify;">それ以外にも<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/406214770X/aic-22" target="_blank">『</a><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/406214770X/aic-22" target="_blank">つながり　社会的ネットワークの驚くべき力』</a>には、「肥満は伝染する」（知り合いが太っていると、自分も安心して食べてしまう）とか、「転職のときは親しくないひとほど役に立つ」（親しいひとは自分と同じグループに属しているので新しい世界を紹介できない）などの面白いデータがいろいろ紹介されています。興味をもたれたら、ゴールデンウイークにどうぞ。</p>
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